近況・雑文の一覧

[ご注意] 古マンション3階で、エレベータがありません
弊院は、築50年になる5階建てマンションの3階にあり、エレベータがないので、来院いただくためには、階段を使っていただくことになる。ここに開院するかどうか、この点が最大のネックであった。 で、開業前に師...
「あの時代」は、本当に、今より良かったのだろうか
40年来通っている高円寺の喫茶店で、隣り合わせた20代の方に、店の開店当時の高円寺ってどんな感じだったんですか、と尋ねられた。1978年10月のことである。 そのとき、たまたま読んでいた本に「1946...
「体を休める」というのは、どういうことなのか
作家池波正太郎は、毎週日曜日の朝、なじみの鍼灸師にかかる。「身体にも、1週間に1度は、休みが必要だろう」と言ったという。 ところで「体を休める」とはよく言うが、それは、どういうことをするのだろうか。寝...
「合理性」に取り囲まれた社会で、どう生きればいいのだろう
最近、弁護士の方と打ち合わせをする機会が多く、思うことも多い。 ひとつ、たぶん彼らの職業文化は「係争になったときに、勝てるかどうか。どうやって勝つか」が第一のテーマであり「係争を避けるには、どうしたら...
「大丈夫だよー。何とかなる。大丈夫」
このあいだ、バングラデシュ人でハラル食材商の方と、不動産の貸し借りについての商談を、少しだけお手伝いした。彼の「友人家族」が住む家を探しているが、連帯保証人が必要で、それになってくれる人間を、日本語が...
「座る」という病因について
「座っていない人のオッズ比を1.0とすると、余暇時間のほとんどを座っている人は3.9倍、仕事中ほとんどを座っている人では1.5倍も、抑うつ・不眠症が生じやすかった」的な論法で、表紙の『がん、心臓病、不...
「正しい姿勢」というのは、神話に過ぎない
「正しい姿勢」「理想的な姿勢」とは、簡単に言うと「耳・肩・腰・膝・くるぶし」が一直線になる状態をいう、とされています。「正しい姿勢」を取らないと「筋肉のバランスが徐々に悪くなっていき、肩こりや腰痛を引...
「点と線が結ばれるか、どうか」は、事後的にしかわからない
スティーブ・ジョブズが言ったのだと思うのだけど。 あることに成功して、その理由を考えたとき、それが過去に行ったあることから起因している、ということはわかるけど、それをやっている時点では、このことが予期...
「科学とは何をなすものなのか」を考える
今さら、といわれるかもしれないが、山本義隆は私にとっては古典である。 いまは『十六世紀文化革命』を読み直している。 15世紀の大学アカデミズムや、人文主義的なルネッサンスが、17世紀の華々しい自然科学...
近況・雑文の一覧
『ヨイ豊』梶よう子を読む
私は人生で最初になりたかった職業が浮世絵研究家なので、幕末の錦絵については少し興味がある。ただ風景画と違って、風俗画や美人画、そして何より役者絵については、当時の江戸の美意識について高度な知識がないと...
『五重塔』幸田露伴を読む
今は無き、谷中感応寺塔建立を巡る職人の話。人々の意地と思惑とが交錯し、登場人物全員が悲劇的運命に犯される話。 明治24年の作。そうかぁ、この文章は、古典落語なのだな。地口と会話の区別が朧な点とか、歌う...
『可愛い嘘のカワウソ』が好きなのだ
こんなに見ていて無条件に幸せな気分になれる絵は、久しぶりかもしれない。 筆のような、水彩のようなタッチは、鳥獣戯画のようであり、物語は (単純なエピソードであることがうれしい) 初期のディズニーのよう...
『君たちはどう生きるか』の雑感
見てきた。ジブリ式のアニメーション技術の高さに満足した。鈴木敏夫が、一切の前宣伝をしない、と判断したことがなんとなく理解できた。そうしたことが、うれしく思えた。 いくつか考え事をした。 宮崎駿は、19...
『君たちはどう生きるか』の雑感 (承前)
(本編は『君たちはどう生きるか』の内容についての情報を含みます) 今日、30代後半の女性と『君たちはどう生きるか』について、話をした。 映画終了後、背後の客が「こんなサイコパスな主人公じゃ、感情移入で...
『推しの子』の瞳の表現ばかりを見ている
アニメのファンというわけではないので、この作品が、どのようなコンセプトで作られているのか、監督がどういう作風なのか、といったことは、まったく知らないのだけど、瞳の表現がとっても印象的だったので。 大衆...
『鬼滅の刃』『ONE PIECE』について考えていたのだけど、
『鬼滅の刃』『ONE PIECE』について考えていたのだけど、やっぱり自分にヤンキー性が薄いので、ジャンプ系の作品におもしろさを感じない。 思えば『父の魂』も『アストロ球団』も『男一匹ガキ大将』も、み...
46年前と、同じ映画をやっていた
久しぶりに早稲田通りを歩き『早稲田松竹』がまだ盛業中であることを喜んだ。この近くに、クラシック喫茶の『らんぶる』もあったはずだが、それは、もうどこだったか知れない。 1977年4月3日に初めて学校に登...
GPT4.0と鍼灸
ある種の知性を開発しようとするとき、例えば「赤い」を扱おうとして「赤い」とはどういう概念なのかを分析的に「教育する」方法があるかと思う。 それに対して「赤い」とはどういう意味なのかには関わらず、世間に...
GPT4.0の感想について
ChatGPTが話題になり始めたのは昨年の秋。それからわずか半年で、いまではこのタイプのAI技術のマーケティング的な見極めや、技術的な限界について語られている。IT技術の革新速度も素晴らしいが、それへ...
ある日を境に、身体の調子ががらりと変化する
ステロイド剤での調整を欠かせないほど深刻ではないけど、通年的に「痒み」に煩わされる患者さんがいらっしゃる。来院されて、以下のようなお話をされる。 「風が冷たくなったな、もう秋だなと思った夜、風呂あがり...
いつから「美味しい物」だけを口にするようになったのだろう
煮出した漢方薬が「どろどろしていて」「すごくへんな味で」飲むのが辛い、とおっしゃる。確かに、漢方薬は大変複雑な匂いと、味がする。日常的な食べ物の味や匂いで表現するのが難しい。 ときどき昔の野菜を思い出...
おおざっぱで行こう
以下は、私の雑感というか、幼稚なマニュフェストのようなものであり、斯界の専門家にお目にかけるような代物ではない。粗々である。気合である。今の気分である。 西洋医学は、要素還元主義であるから、宿命的に、...
ぎっくり腰や五十肩は、最初の1週間が勝負
※ 以下、腰痛や頚肩部の、主に筋肉・腱・神経に由来する痛みについて述べる。感染に伴う痛みや、組織破壊を伴う発痛については、対象としていない。 「急性期」とは、同じ症状が3ヵ月程度継続していることをいう...
コットンから離れらない
子どものころから、化学繊維が苦手で、身についけるものはできたら綿100%を希望する。もちろん、ウールでも、絹でも、麻でも、化学繊維が入っていなければ、幸せである。ただそれらの値段が、私を幸せから遠ざけ...
シン・仮面ライダーをみて
『仮面ライダー』について考えていて、なんでこんなに思い入れが薄いのかと。それは同作が1971年発表=私が中学1年=もう大人の自負、ということなんだろうと思ったのだけど、どうも違う。 たぶん私には『仮面...
スターバックスは、私にとっては希望への窓なのです
(ビートル。ブラジル製のを3年くらい乗っていた) 私は1958年の生まれなので、初めて東京と大阪を移動したときは、特急『こだま』で8時間かかった。東京から福岡に転居するときは、電車の乗り継ぎで、夜半大...
すばらしい医師だと思います
変わった先生ですが、漢方に関しては一流の方だと思います。私は、岩崎先生のアドバイスをいただいて、父の嚥下障害を回避することができました。 提供される漢方薬も、すばらしいものだと思います。 よろしければ...
タイトルをつけるのは、難しい
私が今の業界と、ささやかな接点を持ったのは、祥伝社という出版社で編集の仕事をしていた時だった。 もはや正確なタイトルも、著者の名前も失念したのだが、ノン・ブックという新書のシリーズの1冊として、カイロ...
タロット占いと鍼灸(はり、きゅう)
タロット占いを経験した。 たぶん原宿あたりでは「今度の文化祭で、彼に告っていいですか」とか「志望大学に受かりますか」といったテーマが問われるのだと思うけど、それじゃつまらないと思って「私の生理不順の原...
どなたか、英数字のデザインを変えてくれないだろうか
(Googleフォトに「マッキントッシュ」で検索させたら、この写真が選ばれた。リンゴの品種名と解釈したのだな) 年を取ってきたので強く思うのだけど、5と6、xとX、9とqと、1とlなど、間違えるとクリ...
なかなか治らないのは、奇病に侵されているからでしょうか
身体に不調があるとき、その原因と対策を、ネットなどで自分で調べて、判断・行動する方が増えてきた。その際、それなりの数の方が、希少な病因を見つけだし、なかなか改善しない自分の病気の「真の原因」はこれだっ...
なかなか閉経せず、出血が止まらない
子宮内膜が肥厚していて、ホルモン剤を使っても、なかなか閉経とならない患者さんがいらっしゃって、次髎 (じりょう) に刺絡した。偶然かもしれないが、次の日に多量の出血をみて、止血した。 次髎は、いろいろ...
ばね指、指の付け根の痺れや、痛み
年配の美容師さんを拝見した。長い年月、人生と戦い続けていらっしゃるので、身体のあちこちに疲労の蓄積がみられる。なかでも、仕事柄、たいへん不自由で、たいへん不愉快を感じていらっしゃるのが、薬指と小指のば...
ファッションは思想だが、デザインは技術である
とっても好きな言葉なのだけど、誰が言ったのか、どこで知ったのか、まったく覚えてない。 例えば、財布。「美しければ、紙幣など、入らなくてよい」というのがファッションで、「美しいが、実用性を損じない」とい...
プロテスタントとは何か。個人主義とは何か
私が腑に落ちた答えは「自分で、聖書を読みたいという、願望を叶える主張者」のこと、というものだった。 聖書はラテン語で書かれている。ドイツの片田舎の商人は、ラテン語など読めないし、学ぶ時間も、余裕もない...
やめるのは、簡単ではない
今日拝見したのは、商店街の洋品店の奥様。きちんとした身なりで、長く続く商店を、きちんと切り盛りしている方、という感じである。私より、10歳ほど上、東京のお生まれ、お育ちである。 主訴は、下肢外側部・鼠...
世界史の中の、日本古代史についての本
歴史学と、考古学とは、もちろん違う。前者は特に文献資料を検討して、歴史的事実を希求する。考古学は、発掘された物を分類整理して、歴史過程を秩序付けようとする。 なので、どの土器が、どの時代 (何年) に...
世界的に、政治の季節なのだろう
わが国も、安倍晋三ー菅義偉-岸田文雄と変遷してきた。いずれもそれなりの問題を抱え、過大評価されたり、過小評価されたりして、現在に至る。 そんな時代に、何か政治学の本でもと思っていたら、図書館で岡義武『...
中世とは何か:神仏習合とあの世
中世について、かなり専門的な本である。噛み応えがある。 熊野詣、修験神楽、法華経注釈、天皇即位灌頂など、いわゆる「神仏習合」の展開の細部について、一次資料から解読する。この時代における「闇」とは何か「...
主観と客観について
白洲正子の著名な『明恵上人』である。 明恵については、書きたいことが、たくさんある。現代人には「明恵になり損ねた人」「明恵的な人生を選ぶことをしなかったことで、幸福になる機会を逸した人」が多いのではな...
人間とは何かについて、考えてくれる人が少なくなった -1
生死に直接かかわる医療だけでなく、人生に関わることを考えるためには、人間とは何かといった主題で、ものを考えることが必要だと思う。それを「人生観」と呼んでみる。 現代の専門家は、医師は医療の範囲で、僧侶...
人間とは何かについて、考えてくれる人が少なくなった -2
「人間とは何か」について考えることの特徴は、それが「答えのない問い」であることである。 たぶん正しくは、答えは、それを問うた人の数だけ、存在している。 そういわれると、それは「問い」とはいえないのでは...
仕事の種類によって、疲れ方にに違いがある
筋肉の疲労の種類、関節の痛み方、腱の血流障害など。 人生でびっくりしたことの一つに「ピアノは打楽器である」というのがある。そういえば、ピアニストの方の手腕の疲労の仕方は、杭をよく打つ外構工事の方に、三...
体温とは別の『熱感覚』があるのではないだろうか
2023年の夏は6月から始まり、10月の声を聞いて、ようやく秋めいた瞬間が感じられるようになりました。でも、風が吹くと涼しいものの、風が停まると一転、暑苦しく感じられ、まだ愉快な陽気とは決していえませ...
健康について 1:WHOの健康の定義
健康について、短文を書き綴ってみようと思います。 WHOは健康について、憲章前文において以下のように定義している。 「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、...
健康について 2:歴史の中の医療
今たまたま司馬遼太郎の『胡蝶の夢』を読んでいる。 幕末、当時医療の分野で主流派ではなかった、西洋医の松本良順、関寛斎、司馬凌海といった人たちの明治維新に向けての物語である。 どの主要登場人物も、穏当に...
健康について 3:自然に体が動く
イメージトレーニングというのがある。 スポーツの分野でいわれ始めたメソッドで、ここにボールが来たら、体をこうひねって打つと、こういうふうにボールが飛ぶ、みたいなことを、頭で考えて、体を動かしてみる。事...
健康について 4:春の身体と秋の身体
初春は不調の季節といわれます。実際、2月、3月、冬の寒さが緩みだし、梅や桜の開花がニュースになるころ、華やかな話題と逆に、体調不良を訴える方が増えてきます。 例えば「23時ころに目が覚めて、3時くらい...
健康について 5:病院、治療院
病院や治療院の最大の特徴は、そこが病人だけが「客」として集まる場であることだと思う。 ところで、病気の寛解にとってとても重要な要素は、「自分が病人である」と意識しないことなのではないか、と思う。それに...
先駆者と、戦後という時代について
多くの人に支持されないことを始めた者が持つ、ヒリヒリした疎外感と、それを失った後の余生の物語。 女王様のようにふるまっていた安井かずみが、京都のボンボン加藤和彦と結婚したときには、とってもびっくりした...
冷え、痛み、不快な皮膚感覚は、どうして発生するのか
ヒートテックを何枚も重ね着して来院されて、室内が寒いとおっしゃる。手も足も、腹も頭も、私の手のひらよりあったかいのに、部屋に寒さを感じるとおっしゃる。 私が触れると、冷たいといい、やがてくすぐったいと...
初春の不快な身体感覚について
花粉症であるので、抗ヒスタミン剤や、坑鼻炎剤も飲んでいて、いつも身体の重だるさを感じているのだけど、それとは別に、身体の中心に熱があり、それが身体を温めようとする。身体は、まだ季節は冬だと判断している...
医療は人間が行うべきなのか、AIが行うべきなのか
表題の件を、粗々(あらあら)で考えてみた。 医療は、治療者と患者の間に「人間的な影響」を排除することが難しい。大きな病院などは、人事上の問題もあって、例えば、患者が、担当医師と依存関係に陥ることを、で...
医療感を身につけられた患者さんが、いらっしゃる
患者さんの中には、例えば『癌サバイバー』のように、重篤な病気を経験され、治療し、あるいは治療の過程でいらっしゃる方がいる。その方の多くは、その過程で、その方の「病気感」「治療感」といったものを身につけ...
南仏の田舎町に遊びに行きたい
大きな建築物を見るのが好きなのだけど、ヨーロッパでは教会建築がおもしろい。名もない田舎町に行っても、街の中心部に、大切に使われている教会があり、その周辺のベンチに老人たちが、日がなまったりと時間をつぶ...
向精神薬と、鍼灸の関係
私は服用している向精神薬と、鍼灸施術の関係について、興味を持っている。 今日は、最近ラツーダを処方され始めた双極性障害の患者さんと、薬を服用した状態での、鍼灸の影響について話をする。 この薬に変えたあ...
噛みしめ、頬のだるさ、痛みの対策
毎週来てくださる患者さんが、頬が張る、噛みしめている、だるいとおっしゃる。で、事務所近くの歯科医に相談したら、かみ合わせが悪いと、何度も歯を削られる。それでも改善しないというと、インプラントを強く勧め...
季節の変わりめの身体は、意識よりも疲れている
9月末から10月初頭。夏から秋への移行の季節。「この時分になると体調を壊す」と来院される方が多くなる。 症状は、さまざまなのだけど、印象的なものを一つ挙げると、主訴は「首のあたりがざわつき、眠りが浅い...
寒い、暑いという感覚について
患者さんの身体をみていて、体熱が充分にあるのに、温覚に過敏で、室温を気にして、タオルを掛けるときの風にも冷気を感じる。施術の指が触れたときの皮膚刺激が強く、痛みではなく、くすぐったく感じる。こういう、...
寒暖差、気圧差、湿度差に、ついていけない人
人間の体調の変化は、等比的にではなく、階段状に変化することが、知られています。 等比的とは「10日間努力したら、10改善する」というように「体調が、毎日同じような比率で悪化していく」とかいったことを言...
寝る前にスマホを見てはいけない
「バックライトを覗き込むと、自律神経が興奮するから」ではない。「好奇心を刺激する情報の選択肢が、無数にあること。無数にあることを、知っていること」が問題なのだと思う。 寝る前に何かをするなら、本を読む...
幕末の皇室政治は、新鮮
幕末の人々は長らく討幕派・維新政府派を主体とする「革命史」の中での立場から、語られることが多かったから、守旧派であったり、反体制的立場の人間の扱いが、類型的で、ぞんざいになった恨みがある。 今から思う...
年を取ると、新しいものへの興味が薄れるのか
『好奇心』の定義を「自分の、予測や希望とは違った結果を、受け入れる心構え」であるとすると。年とともに、それが衰えていく理由がよくわかる。 その老人が、成功者であっても、失敗者であっても、自分の結論を尊...
日本人はいつから米を主食にしたのか
私は東洋医学の末端を占めるものであるから「風土と人体」ということに、大変興味を持つ。なのだけど、例えば、弥生時代の人間は、本当に米を主食にしていたのか、といった疑問が沸くし、華北は麦文化、華中・華南は...
日本鍼灸に、統一理論が生まれないわけ
知人の医師が、「治療効果の確認、ってどうやってます?って話。こないだ、とある漢方の先生が、「脈をみない鍼灸師がいる」的な話を書いておられた。」ではじまる、脈診の意義についての書き込みをされていた。 私...
本当に意味が通じているのか、きちんと考えること
今日、英語ネイティブの患者さんを拝見していて、気づいたのだけど。 鍼の有効性の説明に「autonomic、sympathetic、parasympathetic nerves」という、うろ覚えの言葉を...
東洋医学と西洋医学は、安易に混ぜ合わせられない
(掲示の形式が異なるので、ちょっと当惑した) 先日、脊柱管狭窄症の治療に関する講習会に参加した。 講師は、斯界に実績のある、長く病院で慢性疼痛の治療に当たっていらっしゃる先生である。 最後になって、参...
東洋医学についての妄想 2023年秋 - 1
「気とは何か」を現代的に定義するなら (古典的な解釈で定義しないのなら) 巡っているという状態を起こしている一切の「もの」のこと、となるのではないだろうか。巡るという現象を起こしている、一切のものであ...
東洋医学についての妄想 2023年秋 - 2
「気」は、変化するもののことをいうと、前回書いた。 ここでいう「気」は、専門学校の教科書や、多くの鍼灸院のホームページなどが採用している、日本における標準的な定義とはいささか異なる。 東洋学は、先哲の...
東洋医学についての妄想 2023年秋 - 3
自分で書いたものを読み返して思ったのだが、私は東洋医学を「人体から発生・発達したもの」ではなく「世界の概念的理解を、人体に応用したもの」と考えている節がある。 例えば「肝」は、肝臓の機能を観察、抽象化...
梅核気の患者さんについて -1
梅核気 (ばいかくき) をネットで調べると「梅の種が喉につかえているような、不快感を覚えること」のように説明されているが、このような深刻度が低い症状を主訴として、治療院に来院される方はいない。もっと深...
気候の微細な変化に、身体はそれに見合わない大きな変化が起こる
(大学に入って初めて買ったパックが、古道具屋にあった) 昨日まで快適だったスニーカーソックスが、今日は足元から冷感が立ち上がり、とっても不愉快だ。同じ素材の、少しだけ丈の長いソックスに変えたら、快適に...
気象の変化と、身体の状態について
ちょっと雑駁な印象論なので、聞き流していただけるとうれしいのだけど、昨日 (2023/12/21) から、気象の何かの構成要素が変わった気がする。東京の話である。ひょっとしたらさらに細かく私が住んでい...
治療家と患者の、上下関係の有利、不利
医療関係者の中には、家族を診ないという方がいる。その理由はなぜなのだろう。 年配の医師に問うと「情が入ってしまい、客観的な立場を維持しにくい」とおっしゃったりする。そうなのだろうか。もちろんそういう方...
疲れていると、身体は痛む -1
歯が痛むので歯科医に行くのだが、明確な原因を見つけられず。でも先生の「口の中が疲れている。歯茎の状態も、唾液腺の開き具合も」というのが腑に落ちた。 私も、長く通っていただいている患者さんを拝見している...
疲れていると、身体は痛む -2
身体の痛みなどの不都合は、多くの場合「疲れ」から生じると書いた。 では、どうすれば「疲れ」を取ることができるのか。それは、筋肉の硬結=コリとして表現される、とする。そのコリを、もみほぐせばいいのか、鍼...
病院に行くのが好きだ、という患者さん
二人の患者さん、A さんと B さんは、ほとんど同じ病を得ていて、進行レベルも、ほぼ同じ、生活への支障もほぼ同じレベル。 A さんは、病院へ行くのが、大好きだ。 「だってあそこに行くと、私と同じ境遇の...
痒みのコントロールは難しい
この何年か、朝起きた時、パジャマのズボンの腰のあたりに、痒みを感じる。特にできものができているわけではなく、肌が多少乾燥した感じでざらざらしていて、軽い痒みを指先で掻き出すと、水が湧き出るように、痒み...
痛みには一人ひとり個性があります
私は、基本的にすべての患者さんに、積聚 (しゃくじゅ) 治療というのを行います。これは、先を丸めた針を使う治療方法なので、体の中に針は刺さりません。しかも、背中のツボを使いますので、患者さんが痛いとお...
目的が明白ならどんな施術でも
鍼灸と、整体やマッサージは何が違うのか、という質問を受けます。 平たく言えば「身体に対して何らかの影響を与える」点では、両者になんの違いもありません。 患者さんが現在抱えている病症に対して、それを「緩...
私は、患者さんではありません
そういわれてはっとした、という医師のエッセーを読んだことがある。一度にに多数の患者さんを相手にする医師であれば、各人の固有名をいちいち把握するのは面倒ではあるし、あまり意味も感じないのかもしれない。し...
私は、間(ま)が悪い人間です
木村敏が「うつ病の人間は、間が悪い」と書いていた、と聞く。とても印象的である。 「間の悪さ」は何によって発生するのか。それは、その人間の個性と、社会活動の偶然性の、2つの要素の構成比によってである。 ...
精神的支配関係と、友人
今でもすごく嫌いな言葉に「部下は上司を選べないが、上司も部下は選べない」というのがある。こういう社会に違和感を感じない方に、別に異議を申し立てることはないけれど、個人的にはこういう価値観のなかで、人生...
精神的支配関係と、友人。続き
『おしん』とか、藤山寛美の時代の「松竹新喜劇」とか、宮本輝『道頓堀川 』とか、すごく苦手な物語というのがある。 住んでいる地域の規範とか、美意識の重い重圧に支配され、そこから抜け出す希望と意思を、みん...
美しい蓋物を作っていただきました
亡くなった両親を、出来合いの壺に納めるのは嫌だったので、無理をお願いして、蓋物を作っていただく。波佐見の藍水さん。 茶事が好きだった母のと、囲碁が好きだった父のと。
耳に栓をして寝ると、何かが起こる
うちの猫は、2:30ごろと、5:30ごろに何か気持ちが高まるらしく、机のものを落としたり、ニャーニャー泣き続けたりする。 患者さんも2匹のネコが、早朝大合唱するらしい。早起きの人なら支障はないのかもし...
色の攻撃性について
色彩は、人の感情を突き動かす。 そのパワーが強すぎる、あるいは、そのパワーを受け止める感受性が強ぐぎると、受け手によっては、感情の撹乱が引き起こされる。 それに比べて、無彩色は安心である。 このような...
見えているものは、何なのだろう
昔から見えているものは、人によって微妙に違うのではないか、と疑っていた。私が美しいというものを、美しいと感じない人もいるし、その逆も多い。 私は絵を描かないけど、絵を描くと (その技術が十分にあれば)...
身体が冷えているとき、どこを温めればいいのか
指先が冷えてつらいとき、肩が固く重だるいとき、どこを温めればいいのだろうか。冷たい指先だろうか、肩の上なのだろうか。 私は、肘を温めることをお勧めする。ツボでいうならば、手三里・天井を含むあたりである...
身体の熱は、本当に気温のせいなのか
「暑い暑い」と、ハンディファンを顔ぎりぎりまで近づいて、ハンドタオルで汗をぬぐう。顔や額だけでなく、頸の前後の汗もぬぐう。 確かに暑いことは暑いのだけど、こういう方の多くは、何か、暑さによる不快を越え...
迷惑行動をとる人と、私たちの社会
「あなたの行動は、みんなに迷惑をかける」のなら、その迷惑はなぜ「みんなでシェアする」という方法で、解決つかないのだろうか 所属集団が求める『活動合理性』は、どの程度まで正当性を持つのだろうか、というの...
運動はしなくていい、体操をすればいい
痛みや眩暈、頭痛といった病症は、その原因を一つに特定することは難しい。ほとんどの場合「原因」の複合的な組み合わせによって発生しているからである。 原因が一つではないのだから、何か一つの対策によって、症...
鍼の痛みで、ストレスのレベルがわかる-1
上司との確執で転職を悩んでいた患者さんが、転職が決まった。深刻だったこのひと月は鍼を刺すのを大変痛がって、お灸に切り替えた。もう3年以上通っていただいているのに。鍼を刺そうとすると、ピリピリして、耐え...
鍼の痛みで、ストレスのレベルがわかる-2
鍼に過剰な痛みを感じる方は、私生活に強いストレスを背負っていらっしゃる方が多い。そのストレッサーをすぐに解消できればいいのだが、いま現在、何ができるのか。 ストレスが駆動する、自律神経の過反応を抑える...
鍼の痛みで、ストレスのレベルがわかる-3
ストレスと痛みの関連について書いてきたが、ストレスによる自律神経失調症は、痛み以外にも、様々な感覚異常を生み出すように思う。 頭痛、めまい、動悸、吐き気、だるさといった、いかにも「病気」を感じさせるも...
顔に水をつけるのが嫌な人は、泳ぐことはできない
「鍼灸 (はり・きゅう) を受けると、身体の疲労が回復する。以前は、仕事がこみ合ってくると、鬱っぽくなったけど、鍼で身体の疲労が回復すると、鬱がおさまり、現実的な感覚がよみがえってくる」と言っていただ...