身体の熱は、本当に気温のせいなのか

身体へのヒント

「暑い暑い」と、ハンディファンを顔ぎりぎりまで近づいて、ハンドタオルで汗をぬぐう。顔や額だけでなく、頸の前後の汗もぬぐう。

確かに暑いことは暑いのだけど、こういう方の多くは、何か、暑さによる不快を越えたような、切羽詰まったような表情をしている。

お話を伺うと、汚染水や地球温暖化への不安を訴えたり、介護や仕事でのストレスを語られる。そして、来院されてそれなりの時間がたつのに、治療院は25℃に設定された3畳間なのに、お話を伺う短くはないあいだ「暑い、暑い」を繰り返される。実際に、まだ汗が流れ出る。

鍼灸施術を受けていただくと、汗は引く。

これが仮に自律神経の安定化を意味するのだとすると、「暑い、暑い」を連発されている方は、自律神経失調症なのだろう。

これが、オフィスや、通勤電車の冷房が過剰となる、理由の一つなのではないか。

実際に身体を診察すると、熱気を帯びているというより、むしろ、身体は冷えている方の方が多い。つまりは、身体の熱は「ほてり」である。それが外気の気温の刺激を受けて、烈しい暑さに感じられるのだろう。

だから、ハンディファンを顔ぎりぎりまで近づけても、不快さを助長する内部または外部からの刺激が終了するまでは、汗が止まらないのだろう。