治療家と患者の、上下関係の有利、不利

Staff Blog

医療関係者の中には、家族を診ないという方がいる。その理由はなぜなのだろう。

年配の医師に問うと「情が入ってしまい、客観的な立場を維持しにくい」とおっしゃったりする。そうなのだろうか。もちろんそういう方もいるのだろうが、ちょっと違う気がする。

たぶん治療行為には、避けがたく上下関係が発生する。先生と生徒のような。

医師と患者の間に上下関係があるにしろ、患者は言われたことを持ち帰り、熟考して、その通りだとか、いや違うとか、判断を下すわけだが、家族関係が存在すると、基本的には判断を支持するという答えが期待されている。それは、違う、と言いにくい。

医師と患者と、どちらが治療のイニシアティブを持つのだろうか。

現代では、その責は患者にあるとするのだろうか。それとも医師と患者がシェアするのだろうが、医師にある、ということは、もはやあり得ないだろう。

この関係性が、家族は診ない、という基本的な理由なのだろう。

実際には、例えば法的に、社会通念的に、医師の責任を問うのだろうけど。

ところで「医療効果」をクールに考えたところ、上下関係の有無が、治療効果を左右しないのだろうか。

「先生はえらい」という約束事があったほうが、初期段階の教育においては効果的だ、という方がいらっしゃったのだけど、これは医療の世界にも通じる、ということはないのだろうか。