寒暖差、気圧差、湿度差に、ついていけない人

身体へのヒント

人間の体調の変化は、等比的にではなく、階段状に変化することが、知られています。

等比的とは「10日間努力したら、10改善する」というように「体調が、毎日同じような比率で悪化していく」とかいったことを言います。

階段状とは、その名の通り「毎日毎日10の努力を繰り返しても、あまり変化が感じられないのですが、ある日突然、飛躍的に改善する」とか、年配の方であれば、それまで健やかに暮らしていらっしゃったのに、転んで足を捻挫されてから、急に衰えられた、というような感じでしょうか。

身体が、このように「リニア」に変化しないことが「暑い」とか「寒い」といった、身体感覚についてもいえるように思えます。

それがわかるのは、例えば、靴下です。

私は真冬、家で仕事をしていると、指先まで冷えるので、純毛の厚手の靴下をはきます。この靴下の選択は、とっても微妙で、ときどき友人から勧められて、登山用のものを買ってみるのですが、その方には奏効しても、私には期待したほど暖かくなく (むしろ、寒く感じる)、といったことがあります。

その差は何なのでしょうか。二人の間の感覚差は、とても、ささやかで微妙なものなのだと思います。でも、その微妙の差の結果、私には「寒い」という不快な感覚が起こり、知人には「快適な感覚」となるのです。

また、冬の寒さが緩んでくると、真冬では快適であった靴下が、暖かすぎて汗を掻きだし、少し薄手のものに変えると、快適になります。その靴下は「少しだけ」薄手なのです。

例えば、冬外出するとき、少し寒いので、上着はそのまま、ストールを巻くだけで大丈夫とか、レストラン席が少し冷えるので、ひざ掛けを借りると、寒さがしのげるとか。この「暑い」とか「寒い」とかいった感覚は、身体を覆う布の、ささやかな調整で、気にならなくなったりします。

これは、「暑い」「寒い」を判断する感覚神経の閾値 (しきいち) が、個々人で、微妙に違っているからなのだと思います。その違いはさまざまで、「暑さはひどく気にならないが、寒さはとても辛い」とか「寒暖差が激しいと身体がついていけない」といった感覚を引き起こします。それがある人には「気にならない」差であるかもしれません。

これらは、単純に言えば、それぞれ個人の「自律神経」の個性のようなもの。「暑い」「寒い」の判断のONとOFFのタイミングを調整することで、「過剰に寒く感じる」「少し気温が上がると耐え難くなる」といった不快な感覚の改善が図れると思います。

方法はいろいろあって、例えば古風なメソッドであれば『乾布摩擦』も同じ目的なのだと思います。もちろん、東洋医学もこのお手伝いを得意としています。