『五重塔』幸田露伴を読む

Staff Blog

今は無き、谷中感応寺塔建立を巡る職人の話。人々の意地と思惑とが交錯し、登場人物全員が悲劇的運命に犯される話。

明治24年の作。そうかぁ、この文章は、古典落語なのだな。地口と会話の区別が朧な点とか、歌うような語り口とか。職人や、女将さん、上人といった人物が類型的なのかもしれない、それとも、明治の人々のメンタリティに共通点に触れているからなのだろうか。

その意味で、例えば中世物語のような、隔絶感は無いのだけど、時代感もあまりない。令和の世にこんな人が、皆無ともいえない気がする。

話は逸れるが、今に残る『古典落語』の登場人物のメンタリティは、江戸のものではなく、明治の東京のものなのではないか、と思っている。