アニメのファンというわけではないので、この作品が、どのようなコンセプトで作られているのか、監督がどういう作風なのか、といったことは、まったく知らないのだけど、瞳の表現がとっても印象的だったので。
大衆芸能の一番重要なポイントは「カタルシスを引き起こす、決め場の切れ味」だと思っている。『プリキュア』の変身シーン。市川團十郎の「にらみ」。曽根崎心中の『道行』、アイドルの萌えポーズみたいなものである。
学校を出て最初に勤めたのが、祥伝社という出版社で、当時、創立者の黒崎勇さんが社長だった。黒崎さんは、女性誌の新刊が出ると、グラビアの女性の瞳を数える。目線がこちらに来ているものがいくつあるか、らしい。で「これはだめだな」とポツリと言う。何がダメなのか、何故だめなのかは、教えてくれない。彼がダメ出しした雑誌が、本当に売れないので、黒崎さんは、社長をやっている。
記事に出てくる人物には、必ず年齢を入れるように言われた。「主演は、広瀬すず(24)。彼女の役どころは、大店の若女将で・・・」というように。年齢のあるなしで、読者の関心の濃度が変わるのだ、と。あー、すごい工夫だな、と思った。これは、黒崎さんの発見だったか、編集長の櫻井さんのものだったか、他社のだったのか。