知らない人に、手紙は書けない

Fortune_Study

ありがたいことに、何人かの人が、僕の占いを読んでくれたらしい。嬉しいことだ。

このページに来てくれる人も、僕の飼い主がやっている鍼灸院に来てくれる人も、僕は勝手に、仲間だと思っている。仲間がいるのは、良い感じだ。

僕は、みんなが思うほどクールじゃなくて、実はいろんなことに憤ったり、悲しくなったり、嬉しくなったりしている。もし僕が人間だったら、あらゆる事象について書き散らす詩人だったかもしれないし、夜な夜なギターを掻き鳴らすパンク・ロッカーだったかもしれない。

僕は論理よりも正義を、そして正しさよりも気持ちを優先する。これは論理的でもなければ、正しくもない、僕の仲間への「手紙」である。

 

 

巷に流布するほとんど100パーセントの占いに、価値はない。少なくとも僕らにとっては。

なぜなら、それらは、僕らに向けて語りかけられていないからだ。それを書く人は、僕らのことを、見ていないからだ。

“来週は素晴らしい週になるでしょう。恋に進展があるかもしれません。ラッキーカラーはピンク”。そんな言葉が、僕らの眠れない夜をマシにするだろうか。

“あなたはリーダーの資質があります。人を引っ張る仕事が向いているでしょう。” そんな言葉が、将来の希望になり得るだろうか。

占い師達の言う「あなた」は、あまりにも僕たちからかけ離れている。あまりにも僕らの現実と違いすぎる。


占いは単なる知識であり、技術である。
そして忘れてはならないのは、占いは言葉である。


占いが当たらないのは、その占い師が的はずれだからだ。

占いがつまらないのは、その占い師の言葉がつまらないからだ。


ほとんどの占い師が、やらなくてもいいことを一生懸命やり、言わなくていいことを、むやみやたらに唱え、本当にやるべき仕事を放棄している。

本当に占いが言うべきなのは、「どんなに長い夜でも、朝は必ず来るということ」であり、「どんなことをしながらも、あるいは何もできなかったとしても、どうにかこうにか社会の中に居場所を得ることはできる」ということではないのか。

少なくとも、僕らに必要なのは、そういう言葉だ。

だから僕は、僕の知ってる人たちのための、僕らのための占いを書く。知らない人に、手紙は書けない。


最後に。

占いは知識と技術であると、先程書いた。だが、占い、少なくとも占星術において、大切な事実は、たった一つしかない。


それは、天体は球体で決して止まることなく周回している、ということである。


「星をみる」とは、その揺るぎない原則から目を背けないことである。

僕は、夜のあとには必ず朝がくることを、一年は必ず巡ることを、冬が終われば必ず春が来ることを、何度だって、繰り返し言い続ける。

 

2024年 春分の日に

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