鍼の鎮痛効果は、筋膜性疼痛症候群の治療効果と同じものかもしれない?

エッセー

原因不明の痛みと言われていたものが、実は筋膜性疼痛症候群(きんまくせいとうつうしょうこうぐん:Myofascial Pain Syndrome : MPS)によるものであることが分かってきました。これは筋肉と筋肉の間の膜である「筋膜」が原因となって痛みを引き起こす病気で、いわゆるギックリ腰などの原因といわれています。

隠岐島前病院院長の白石吉彦先生は、このような疼痛の対策に、厚くなったりすべりが悪くなっている筋膜をはがすための施術を行います。実は、針を筋膜の部分に刺して生理食塩水を注入するだけで、筋膜がはがれ、筋肉の滑走がよくなり、痛みが治まります。

先生は、鍼というものが筋膜性疼痛症候群の治療をしている可能性を指摘されます。鍼において250程度存在している「経絡」のうちの8割くらいは、筋膜性疼痛症候群の「トリガーポイント」(痛みの引き金となる部位のこと)と一致しています。このことは鍼と筋膜性疼痛症候群が似た部位を施術していることを意味します。鍼を解剖学的に考えると、厚くなったり滑りが悪くなったりしている筋膜を、鍼で剥がして対策している可能性があるのです。

出展を辻本が一部改変しました。