血流をよくする、ということ

身体へのヒント

西洋医学的に説明します。

ご存じのように、血液は、心臓を出た動脈が、手指先や足指に広がる末梢毛細血管を巡り、汚れた血液を静脈に流して、心臓に戻る、という循環を繰り返しています。

筋肉も腱も組織も、人間の身体は血液によって栄養されています。栄養されている人体は、暖かく、柔らかくなっています。逆に、血液で栄養されていない部位は、冷たく、硬くなっています。

呼吸では、吸う息よりも、吐く息が大切である。きちんと息を吐き出せなければ、きちんと息が吸えない、といわれます。これは、血液も同じです。

汚れた静脈が、心臓まで戻ってこないと、新鮮で栄養に満ちた動脈が、組織を栄養できません。

つまり、硬くなった筋肉や腱の血流を、豊かに流してやるためには、「その先」に詰まった血液があるのなら、それをまず流してやらねばなりません。

例えば、ふくらはぎが硬く、つまり血流が滞って流れが悪いなら、その上部の大腿部の血流を豊かにするためには、ふくらはぎの血流改善が必須です。

これを鍼で実現するためには、病症を呈している大腿部だけではなく、ふくらはぎにも鍼を刺して身体状態を改善しなければなりません。

われわれ鍼灸師が、患者さんが訴える疼痛がある場所以外に、数多くの鍼を刺す理由の一つがこれです。