インナーマッスルを緩める

トピック

神経はいろいろな筋肉を貫いたり、筋肉と筋肉の隙間を抜けたり、さまざまな走行をしています。体表面の筋肉なら、手技でも対処できるのですが、深部筋 (インナーマッスル) と呼ばれる、身体の中心部にある筋肉が拘縮している場合は、長めの鍼を使って、血流改善を図る必要が生じます。

一般に深部筋は、意識して動かすのが難しいことも、治療の妨げになっています。

上の図 (背中から見ている) は、坐骨神経痛に影響を与える大腰筋 (青色の筋肉) の位置を示しています。この筋肉は、広背筋 (図の左側) を初めとする筋肉の重なりの一番下で、かつ背骨の前側にあります。

正面から鍼をしたいところなのですが、正面側には腸を初めとする臓器が密集していて、刺入が不可能です。このため背部から刺すことになるのですが、背骨の横へ飛び出した部分 (横突起) の間をすり抜け、その向こう側に達する必要があります。このため、男性では135mm、女性でも100mm以上の鍼が必要になります。


上の図 (腹側から見ている) は、もう一つの神経痛に影響を与える大きな筋肉である、腸骨筋(青色の筋肉) です。図で分かるように、腸骨 (いわゆる腰骨) の内壁にこびりついています。黄色の神経が、この筋肉の周りに広がっています。

この筋肉に鍼を刺すためには、腸骨に沿って巻くように鍼を刺す必要があります。図では省略されていますが、ここには大腸を始め、卵巣などの重要な器官が集中しているので、慎重な刺入が重要です。

(c) Human Anatomy Atlas, Visible Body