ストレスによる腰痛には「安静」よりも「思考の癖」を変えることが重要

身体へのヒント

腰痛の原因が整形外科的な支障によって発生するという学説は、もはや世界的に否定されています。脳が重要です。まして「安静」などもってのほか。

ホームページに掲載された松平先生の記事は、最新の腰痛研究の紹介としてとってもわかりやすいと思います。腰痛をはじめとする慢性疼痛にお悩みの方はぜひご一読ください。記事はこちらから。
以下要旨を抜粋します。

「腰痛の原因」と聞くと、日ごろの姿勢や無理な動作など、物理的な腰へのストレスを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし近年の研究により、職場・家庭の問題などの心理的ストレスや痛みへの過度な恐れ・不安が、脳を悲観的な状態へと変え、慢性腰痛の引き金となることがわかってきています。

脳の「側坐核(そくざかく)」が良好に働いている状態をSunny Brain(楽観脳)、扁桃体が必要以上に興奮している状態をRainy Brain(悲観脳)と呼びます。楽観脳がうまく働いている「楽観脳」の状態とは、その名の通り困難な状況も前向きに捉えられる状態のことを指します。

健康で問題ごとなどを抱えていないときは、脳において「側坐核」へと正常なドパミンとオピオイド分泌が起こり、楽観脳の状態が維持されます。しかし、痛みやストレスを受けるとドパミンおよびオピオイドの分泌に不具合が生じ、物事をネガティブに捉える悲観脳となってしまいます。

すると、私たちの体は痛みに対して過敏になり、結果として慢性腰背部痛などの痛みを覚えるようになるのです。

松平浩先生
東京大学医学部附属病院2 世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任教授/福島県立医科大学医学部疼痛医学講座特任教授