吸角 (カッピング)には効果があるのでしょうか? サロンなどで受けても大丈夫なのでしょうか?

身体へのヒント

リオ・オリンピックで大活躍の水泳のマイケル・フェルプル選手やナタリー・コーグリン選手、体操男子のアレクサンダー・ナドアといったアスリートの話題で、今や吸角 (カッピング)に注目する方が増えているようです。たいへん素晴らしいこととは思うのですが、一方で問題も。

「スポーツや美容、ダイエットに効果がある」

「吸角 (カッピング)の機械を買えば、素人でもプロ並みの効果を出せる」

などと詠う鍼灸院やサロンのホームページも見かけます。

率直に言えば、吸角 (カッピング)施術だけで、そのような効果を期待することは、ほぼ不可能だと思います。

病症対策は、

診察→診断→施術

という3つのステップを経なければなりません。

吸角 (カッピング)は、この3つのステップのうちの「施術」の部分に含まれる、一つの技術です。もちろん施術も重要ですが、診察・診断といった基本部分がしっかりできていない限り、どのような施術を施しても、無意味です。

吸角 (カッピング)の効果については、カッピング(吸玉・吸角)には、美容以外にも多岐にわたる効果があります で詳しく解説いたしました。ぜひご一読ください。

効能に「デトックス」を強くうたうサロンは、ちょっと怪しい

その鍼灸院やサロンの実力を図るには「デトックス」について、どのように解説しているか、ご覧になるのがいいと思います。

体内の「悪いもの」を体外に排出することをデトックスと呼びますが、なぜ肌に負圧をかけたカップを付着するだけで、それが実現できるのか?
これをきちんと解説しているか、その説明に納得がいくか、ぜひご検討ください。

こった肩に吸角 (カッピング)をすることが「治療」と呼べるほどの効果を発揮するのなら、それが「どのような過程を経て効果を出すのか(機序)」をきちんと説明できるはずです。まして、そのような素晴らしい効果を「素人でも出すことが可能」というのなら、例えばマッサージや指圧と何が違うのか。身体にどのような反応を引き起こし、それが肩こりを「治療する」ことができるのか。きちんと説明できるはずです。

ここに解説したように、吸角 (カッピング)だけでは寛解効果を出せませんし、まして理論が不明瞭であるなら、サロンで行った施術が逆効果になるかもしれません。あれだけの数の吸角 (カッピング)を背中やお腹に付着するのなら、身体の負担も軽くないはずです。

例えば、中医学で「虚証」と診断される患者さんのなかには、激しい吸角 (カッピング)は、危険が伴う場合があります。

私どもの鍼灸院でも、吸角 (カッピング)はたいへん重要な施術法と位置付けています。しかしながら、人間の身体は、吸角 (カッピング)をかければ万能の効果を発揮するというような、そんな単純なものではありません。患者さんの中で、吸角 (カッピング)をご希望される場合は、ぜひご相談ください。適切な診断のうえで、最大の効果を発揮するように吸角 (カッピング)施術いたします。