「痛み」と「鍼による刺激」とは、身体に与える影響が違います

身体へのヒント

「鍼は痛いですか」とよく聞かれます。それに対して「痛くないですよ」とか、逆に「痛いから効くのですよ」とかの答えがあります。どれも鍼の痛みと効果にかかわることなので、ちゃんと整理して理解しておくといいと思います。

「鍼によって自律神経はどのような影響を受けるのか」を研究している西條一止は『臨床鍼灸治療学』のなかで以下のように書いています。
痛み刺激は、副交感神経機能を刺激して心拍数を増加させるほか、交感神経α・β受容体系機能を高め、抹消血管を収縮させ、心拍数を増加させる。

一方、刺鍼刺激は、副交感神経機能を高め心拍数を減少させ、交感神経β受容体系機能を抑制し、心拍数を減少させる。α受容体系機能を高める。
以上のように、痛み刺激と刺鍼刺激では明らかに生体反応が異なる。…生理学で刺鍼刺激に侵害刺激という言葉を用いることがるが、…そういうべきではない。

以上を簡単にまとめると、「痛み」と「効果」の間には関連性はなく、痛みが強いから効果が高いとか、低いとかはいえない、ということになります。