頚椎症って何なんだろう、というお話を

身体へのヒント

53歳男性。右手の肩の後ろ側が痛い。手に力が入らなくて、字が書きにくい、ストロークの深いキーボードを打つのが辛い、箸がうまく使えない、とおっしゃる。

整形外科では、レントゲンを撮り、頸椎の5番と6番の間が狭くなっている。『頚椎症』と診断され、トアラセットとタリージェが処方される。「よくなるのに1ヶ月みてください」と言われる。

伏臥位で、棘下筋に圧痛があることを確認して、積聚治療を行い、ボールペンを渡し字を書いてもらう。痛みなく字が書ける。指を立てて髪を洗うと、痛かった。ベッドでやってもらっても、痛みはない。

なぜなのだろう。

私はこれは「身体が本当は痛くないんだ」ということに気づいたのだと思う。あるいは「身体が、この程度の痛みは、無視しても大丈夫」と安心したのだと思う。身体には、そういう能力があって、それを賦活することが「治療」の効果の一つだと思う。