免疫を高める=病気にならないと勘違いしていませんか –朝日新聞デジタル・アピタルの記事

身体へのヒント

弘前大学大学院医学研究科臨床検査医学講座准教授 齋藤紀先の記事です。
出典はこちら

–以下、記事から引用–

…この世のすべての異物に対して体の免疫反応は強い方がよいかと言うと、そうではありません。すべての病気について「免疫を高める」ことが「病気にならない」ことにつながると勘違いしている人が少なくないと思いますが、異常に強い免疫反応によって生じる病気が数えきれないほどあるのです。

しかし、この世のすべての異物に対して体の免疫反応は強い方がよいかと言うと、そうではありません。すべての病気について「免疫を高める」ことが「病気にならない」ことにつながると勘違いしている人が少なくないと思いますが、異常に強い免疫反応によって生じる病気が数えきれないほどあるのです。

確かに、感染症として悪さをする細菌やウイルスに対しては免疫が強い方がよいでしょう。その一方で、体にとっての異物の中には「たいして悪さをしない」ものや、「放っておいてもよい」ものがいくらでもあるのです。例えば、花粉やほこりなどです。

これらの異物に対しては、たとえ体内に入っても免疫の仕組みが働かない方がよいのです。ところが、こうした異物に対して異常に強い免疫反応を起こしてしまう人がいます。この「異常に強い免疫反応」が「アレルギー」です。花粉症は、花粉に対する異常な(過剰な)免疫反応が原因なのです。

ですから、何でもかんでも免疫が強い方がいいというのは間違いです。当たり前のことですが、「それぞれの異物(抗原)に対して、それぞれにちょうどいい免疫反応」が備わっていることが健康な状態と言えます。

一部の健康食品や、あやしげな医療本に「免疫力アップ!」という表現がよく使われていますが、「どんな抗原に対する免疫がアップ」するのか、明確でないことが少なくありません。もし、すべての抗原に対して免疫力がむやみにアップしたら、それは大変なことです。さまざまなアレルギーや免疫疾患になってしまいます。

–引用終わり–

「免疫力を強くする」とうたわれることが多いですが、この記事にあるように、強くしすぎると「アレルギー体質」になってしまいます。弱いことはもちろん問題ですが、ただ強くすればいいというものではありません。
重要なのは、免疫を「適切に働かせる」ように、調整することです。

この「適切に動くように調整」が東洋医学の意図するところです。