なかなか治らないのは、奇病に侵されているからでしょうか

身体へのヒント

身体に不調があるとき、その原因と対策を、ネットなどで自分で調べて、判断・行動する方が増えてきた。その際、それなりの数の方が、希少な病因を見つけだし、なかなか改善しない自分の病気の「真の原因」はこれだったのだ、と確信され「その分野の日本に数少ない専門家」と称する病院を受診される。


このような希少な病気を扱う病院が、身近なところになくても、今では、ネットを使ったリモート診察を受け、薬を宅配便で受け取ることができる。

大変結構なことだとは思うのだけど、問題点も多い。

一般論として、専門家ではない方が、例えばGPTのような、高度な検索技術を使ったとしても、自分の病症の「真の原因」に行き着く可能性は、あまり高くない、と思う。

このような「AI検索技術」を使うことで、全能感が得られるのか、素人が専門性の高い問題について「確信をもって」判断する、ということが、以前より多くなった気がする。

だけど、たぶんこの作業は、その方が思っていらっしゃるよりも、遥かに難題なのだ。

また、こういう方は、医師への不信を訴えられる傾向がある。

もちろん医師のなかには、かなり変わった方がいて、仕事柄その「変わっているところ」が容易に観察できる。でも、医師は、身体に関する研鑽を重ね、臨床実績も積み重ねて、今がある方たちである。Google君が10秒未満で「有用な」答えを出したとしても、その答えを出すために丸めてしまった「誤差で捨てられない部分」も含めて、医師は、判断してくださるのである。

こういう経路で選択された病院も「特殊な病気」を専門にしているだけあって、ちょっと眉に唾をつけた方がいいのではないか、と思われるものも多い。不思議なことに、慶応大学病院とか、聖路加国際病院に行き当たる方は、ほとんどいない。

その病院のホームページを拝見すると、欧米ではすでに常識であるが、日本の医療界は極めて保守的であるため、これほど重要な医療手段が紹介されない。これは既得権益にしがみつき、患者の救済を二の次にする日本医療界の腐敗であって、患者にとっては大変な悲劇である、とまで書いてある。なるほど。

私は、こういう思考パターンに入り込む前に、冷静な第三者の協議を受けた方がいいと思う。病気は確かに複雑で、個人的例外が多いものではあるけれど、人間が行う「医療」という行為においても「一般常識」的な判断は、大きな間違いを起こさないと思う。