痒みのコントロールは難しい

身体へのヒント

この何年か、朝起きた時、パジャマのズボンの腰のあたりに、痒みを感じる。特にできものができているわけではなく、肌が多少乾燥した感じでざらざらしていて、軽い痒みを指先で掻き出すと、水が湧き出るように、痒みが肌に広がっていく。

靴下のリブの部分とか、トレーナーの袖先とか。毛編みのタートルネックの首回りとか、要は、衣服が体に密着するものが苦手だ。

秋冬は、頭皮も痒みを強く感じる。いろいろ洗剤を工夫するのだけど、効果が長持ちしない。

年齢からいっていわゆる「老人性掻痒症」なのかもしれない。

Googleくんによると、「老人性掻痒症」以下の通り。

特徴:老化による皮膚の乾燥や皮脂の分泌の低下により、角質層が水分を失うことでかゆみを生じる「老人性皮膚そう痒症」。 高齢者は若年者より、ひび割れやかゆみを起こしやすくなります。 特に、50歳を境に男性に多くみられます。 特徴:何かの物質が皮膚に接触し、それが刺激やアレルギー反応となってかゆみを伴う湿疹が現れる皮膚疾患。

で、これに似たことがいつかあったな、と。思い出したのは、幼稚園の頃のこと。

当時私は、杉並区松庵南町(今はない)に住んでいて、家から歩いて久我山幼稚園に通っていた。この幼稚園には制服があって、双葉の若芽のマークがついていた。細かいことは忘れたが、頭に紺色のベレー帽を被り、グレーの短パンに、長靴下をガーターで止める。1963年当時としては、とってもしゃれた装いだったのではないか。

ところがこの制服、5歳男児にとっては、大変不愉快な代物で、特に長靴下。走るとすぐにずり落ちるのはもちろんだが、靴下の素材を肌に密着させるガーターが、皮膚に強い痒みを作るのだ。

あと、冬になると着せられる、手編みのセーターも苦手だった。ちくちくするのだ。

こうした不都合は、年を重ねるうちに印象が薄くなる。衣服での不愉快な思いが、少なくなる。そのわけは、なんとなく、初年期を過ぎて自分の好みで服を選べるようになったからだと思っていたのだけど。最近、どなたかから、それは「身体が大人になったからだ」と説明を受けた。

この伝でいうと、私は年とともに、身体が子供に帰りつつあるのだな。頭脳が衰えていくこと、感情の制御が抑えられなくなることを、例えとして、「子供に帰る」というのだと思っていたのだが、身体の機能自体も、そういうことなのだな。

とはいうものの、痒みを抑えないことには生活レベルが低下する。

家庭医の先生と相談して「当帰飲子」と「四物湯」の組み合わせで、かなり緩解している。「当帰飲子」だけでは痒みを停める力は弱いとの声が多かったのであんまり期待していなかったのだけど、この組み合わせが私にはあっているのかもしれない。