施術中、いったん悪化したようにみえるいわゆる「好転反応」について

身体へのヒント

「好転反応」という言葉があります。

主訴となる症状が「一過的に」ぶり返したかのように見える現象を主に指します。

これは医療関係者にとって、大変便利にも使える言葉で、いわゆる健康食品や健康器具や化粧品などの副作用や不適応を、ごまかすためのセールストークとして用いられることもあります。

いっぽう漢方の世界では「瞑眩(好転反応の意味)が発生するのは多くて1,000人に1人程度」で、「症状が現れた後長くても1~2日で収まる」といわれており、そもそも瞑眩が発生するのは、処方の過ちであり、これを起こすことは漢方医として未熟で恥ずかしいこととされています。

鍼灸の世界はどうでしょうか。

私どもがしばしば経験する「好転反応」は、「前は体が冷えてしかたなかった。鍼灸をすすめていくうちに、それはましになったけれど、今度は肩が痛くなった」というような例です。
これは、あまりにも全体の体調が悪いときは、各部の不調に気づくことすらないけど、体調が改善してくると、それに気づいてくる、という現象です。さらに体調が改善すると、この各部の不調も改善していきます。

先日、鍼灸師の患者さんを施術していたとき「今朝チーズを食べたら腹がもたれたので、自分で鍼を刺して治した。前はこのような症状もなかったので、体調は改善している」とお話されました。同業者ならではの言いまわしです。

私どもは、全体の体調を復調すること (これを根治といいます) を主眼にしています。これを復調しないと各部の病症が改善しないからです。