カッピング(吸玉・吸角)には、美容以外にも多岐にわたる効果があります

身体へのヒント

吸角 (カッピング)は、どこで受けても効果があるのでしょうか。サロンなどで受けても大丈夫なのでしょうか?
注意点もあるようです。こちら。

カッピング(吸玉・吸角)は、美容に効果的というお話がありますが、実は多彩な病気・病状に効果があります。体調によっては3日から1週間ほど痕が消えませんが、この点を気になされない方には、大変有効で、私どもでも施術しています。

効果が期待できるのは、次のようなとっても一般的な病症です。

慢性疼痛、脊椎症、手根管症候群、慢性疲労性症候群、慢性非特異性疼痛、急性三叉神経痛、頭痛、片頭痛

帯状疱疹、咳、にきび、感冒、蕁麻疹(じんましん)、外側大腿皮膚炎、頚椎症、腰椎捻挫(ぎっくり腰)、肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)、顔面神経麻痺

さらに最近では、組織内毒素の排泄作用があることがわかり、次のような病気・病症にも効果があることがわかってきました。

脂肪肝、骨粗しょう症、アルコール依存症、神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病)、糖尿病による合併症、老化(シミ、皺)

出典:Zhongguo Zhen Jiu 2005, 2.5(11):765-7 など英文と中文

カッピング(吸玉・吸角)は従来から、鎮痛効果には定評がありました

「J Altern Complement Med. 2010 Apr 16(4)397-409」は次のように結論付けています。

繊維筋痛症の対策に際して、鍼は従来の薬物療法よりも圧痛点を減少させたが、鍼とカッピングの組み合わせは薬物よりも疼痛軽減効果があった。繊維筋痛症に対して鍼とカッピングの組み合わせは有益であると考えられる。

もう一つ、凝りや痛みの変化がVASスケールにおいて半分以下になった症例を挙げておきます。

1.Y.T. 42歳男性会社役員 主訴:耳鳴りが止まらない
[現病歴]5年前から右耳鳴り(高音)が止まらない
[施術]背部・右後頚部・耳周囲にカッピングを週1回
[経過]3回目が終了して帰宅後、耳が静かになっていた

2.Y.H. 83歳女性無職 主訴:頚部の凝り
[現病歴]50歳時頚部のヘルニアで人工骨移植後、頚の後ろと背中全体が常に凝ってしょうがない
[経過]後頚部と背部全体にカッピングすることで1週間は楽になる。毎月1回カッピング

3.Y.E. 38歳女性アロマセラピスト 主訴:背部の一ヶ所がいつも凝って辛い
[現病歴]人間ドックなどで検査するも、異常なし
[施術]通常の鍼、アロマでも効果なし
[経過]凝っている箇所にカッピングすると、その後2週間は体調がいい。2週間に1回カッピング

出典:日本アーユルヴェーダ学会研究総会プログラム 2010-09-16

カッピング(吸玉・吸角)を続けると、血液成分に大きな変化が起こります

このような従来から知られている効果以外に、近年では血中成分にも変化が現れることが知られてきました。

「J Altern Complement 2007 Jan-Feb 13(1)79-82」は、週1回のカッピングを3週間続けたところ、以下の変化が現れたと報告しています。

・LDLコレステロール、LDL/HDL比がともに大幅減少した
・総コレステロールは7%減少、HDLコレステロールは3%増加した
・血清トリグリセライドは変化なし
・総コレステロール/HDL比は大きな変化なし

本レポートは、カッピングは動脈硬化の予防として有益であると考えられると報告しています。

静脈中の血液と、カッピング(吸玉・吸角)で得た血液の内容物には違いがありました

このように多岐に渡る病気に対して効果を発揮する吸角ですが、その効果の医学的な根拠は何なのでしょうか。静脈の血液と、背部・腰部で吸角で得られた血液を比較してみると、次のようなことが判明しました。

・カッピング(吸玉・吸角)で得た液中には、総蛋白・総脂質・総コレステロール・フルクトサミン・α2マクログロブリンが多く含まれる
・糖タンパクのひとつである AGEs が特に高濃度である

血中のAGEsは動脈硬化の促進など、さまざまな問題を引き起こします

このAGEs(「終末糖化合物」といわれます)は、身体に次のような影響を与えます。

RAGE(AGEs受容体)に結合し、NADPHオキシダーゼの発現を亢進する

ROS(活性酸素)の産生を亢進させ、酸化ストレスを産生する

↓                   ↓

MAPKを活性化し、VEGF(血管内皮増殖因子)を発現させる

またAGEsは、血管内皮細胞から線溶を阻止するPAI-1発現を増加させ、血栓が溶解されにくくする(血液をドロドロにする)

これらのために、

・AGEsは動脈硬化を促進する
・糖尿病の人は血糖が高いためAGEsが多く生成され、動脈硬化・白内障となるリスクを高める

AGEsはアルツハイマーや骨粗しょう症の発症原因の一つと考えられています

AGEsは脳内の老人班に蓄積され、アルツハイマーやパーキンソン病・クロイツヴェルト=ヤコブ病のリスクを高めます。

さらにAGEsは、脂肪肝や皮膚のシミや皺を増加させます。またROS(活性酸素)の産生を促している点も重要です。

ちなみにAGEsは、食物によって体内に持ち込まれるわけですが、次のような食品に多く含まれていることが判明しています。
※食品中のアクリルアミドの最小値と最大値。単位はμg/kg。アクリルアミドはAGEsの一つで強い発がん性がある

ポテトチップス 467~3544
フライドポテト 512~784
ビスケット・クラッカー 53~302
朝食用シリアル 113~122
食パン・ロールパン <9~<30
チョコレートパウダー 104~141
コーヒーパウダー 151~231

参考:谷村恭子他「糖尿病と生体内食事由来の糖化最終産物」

カッピング(吸玉・吸角)は、血中のAGEsを体外に排出する効果があります

カッピング(吸玉・吸角)をかけると、皮膚の下に紫斑ができます。また刺絡を行うと、カップの中に粘度の高い内容物が溜まります。これは何なのでしょうか。

陰圧にした吸角を皮膚に密着すると、皮下の血管壁が吸引されて、毛細孔隙の血清濾過量が増加します。このとき皮膚に刺絡などで小さな切傷をつけておくと、総蛋白・総脂質・総コレステロール・フルクトサミン・α2マクログロブリン・AGEsが体外に排出されるのです。

刺絡によって吸角に溜まった「ドロドロ血液」の正体がこれです。

以上で解説したカッピング(吸玉・吸角)による効果をまとめると、次のようになります

・美容効果
異栄養状態になった皮膚はサイトカインの働きで、免疫・細胞増殖・組織修復・コラーゲン生成などの働きを活性化させる

・合併症の予防
糖尿病の合併症になる原因物質を、血管内から皮下組織・体外に移動させる。これは血中内容物を濾過効果を使って排出するという意味で「天然の人工透析」といえます

※本記事は、2015年5月3日に行われた長谷川直哉先生による「吸角療法」セミナーの内容を、辻本が要約したものであり、文責は辻本にあります。長谷川直哉先生は、病鍼連携神奈川の発起人でらっしゃいます。

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