リウマチによる関節変形の痛み、足の裏の痛み

身体へのヒント

写真は足底部の疼痛を訴える患者さんに、お灸をしたところ。
米粒大のお灸を、それぞれ100個づつ据えたところで、ようやく熱さを感じ、終了。健常な方では1個でも「あちっ」となる熱さなのですが。

お灸の目的は、皮膚表面や、皮下の骨に、多彩な熱刺激を加えることです。

そのため鍼灸師には「皮膚の表面にうっすらと熱が伝わるように」とか「お灸の真下、きるだけ深い位置に熱が達するように」というように、目的にあうよう灸を自在に操作する技術が必要になります。

この技術を使って、(せつ:毛包組織の化膿性病変。おできのこと)や、(よう:癤の集合型化膿(かのう)の痛みや痒みを寛解したり、アトピー性皮膚炎の痒みを和らげたりします。

また、骨の再生と過熱には強い因果関係があって、外反母趾に継続的に灸刺激を加えることによって、痛みを緩和し、緩やかに奇形を改善することも可能です。
私が中国にいたときは、かなり高齢の婦人の湾曲した背骨に、毎日お灸を施していました。

さて、リウマチ性関節痛について。

リウマチでは、骨の変形に伴う侵害刺激性のもの、末梢感覚器の刺激由来のものと、多彩な痛みに悩まされます。

このような場合でも、傷む関節の骨部分に適切な熱量の灸をすることで、痛みの緩和に大変効果を発揮します。最初は1回の効果の持続性は、癤や癰ほどではありませんが、継続的することで持続的な効果が明瞭となります。

またよくモートン病と診断される、足裏の神経性疼痛。

女性の方で「ヒールの高い靴を履いて歩くと激しい痛みを感じた」という経験をされた方は多いのではないでしょうか。

このような神経性の疼痛は、整形外科的なアプローチではなかなか寛解しないのですが、患部への灸が高い効果を発揮することが多いように思います。

「なぜ灸はこのような治効を発揮するのか」

こうした当たり前の疑問に対して、長年合理性の高い医学的説明が得られなかったのですが、最近興味深い発見がありました。
それは熱に対して興味深い反応を起こす「シャペロン」というたんぱく質。一度変形すると元に戻らないとされていたたんぱく質を元に戻します。

この件については、また別の機会に書くことにします。