患者さん、「不安でたまらない」と、泣きながら来院される。「ここまで来るのがやっとです」とおっしゃる。
医師にベンゾジアゼピンが処方されているのを知っているので、お薬は飲みましたかと伺うと、「飲むのが怖いので、飲んでいない」と。
頭では飲んだ方がいいことは、わかっているのだけど、かつて、断薬したときの辛い記憶が、どうしても蘇り、飲むことができない、と。
30分ほどお話をして「今ここで飲むことにします」とおっしゃったので、水を用意し、少しお話をして、鍼施術をして、お見送りする。玄関で、軽い冗談をおっしゃって、笑われる。
今日の行為は、厳密には違法なのかもしれないが、まあいいのだ。「帰ったらすぐに、お薬、飲んでくださいね」では解決しない問題があるのだ。