「よくある質問」の下部にある以下のトピックも参考に。
柔道整復師とは何が違うのですか?
整体師とかカイロプラクターとかとは、どのように違うのですか?
以下のエッセーもご参考に。
町を歩くと「鍼灸太極堂」のように、漢字が並んだ鍼灸院の看板を見ることがあります。意味がよく取れず、馴染みがたいと感じられるかもしれません。
「東洋医学」とひと括りにされていても、その中にはいろいろな理論や技術が含まれていて、それが院名にも反映されています。(本院の名前にはあまり反映されていませんが)
鍼に限ってみても、古代中国の思想に忠実な流派、戦前の日本で独自に発達した流派、現代になって体系化された理論、というように千差万別です。これらはそれぞれ独自性があるのですが、それをこの場でご説明するのはかなり困難です。本サイトでご紹介する本やホームページをご参考いただくのがいいと思います。
では病気を治すに当たって、流派の違いはどのような影響があるのでしょうか。
病気対策を「登山」に例えると、流派は「登山ルートや、登山技術の違い」といえます。
多少強引でも最短のルートを行くもの、事故を可能な限り避けるためにゆっくり遠回りも厭わないもの、ロッククライミングの技術には優れているけれど天候の予測能力には乏しいもの。どれも「山頂に登る」という「目的」は同じですが、それを実現する「手段」が違っているという意味です。
ではどれが自分に一番あっているのか、どうやって選べばいいのでしょうか。
これに対する答えは、残念ながら単純ではありません。人と人の相性が大きく影響するからです。ただ「優れた鍼灸師」であれば、流派に関係なく、実績が高いといえると思います。ある流派が実績が高いとか、Aという病気にはMという流派がいい、といったことはないと思います
それよりも重要なのは「どの山に登るのか」--目的をどこに置くのか、をきちんと決めておくことだと思います。
先に「腰痛を例に考えてみましょう」で東洋医学と西洋医学の違いについてご説明しましたが、(正確に申しあげると) 東洋医学の鍼灸院が必ずしも[身体を正常に動かさせない何か]を目的とするわけではないからです。
例えばぎっくり腰で来院いただいた患者さんに一番必要なのは「今の激痛を取ること」で、それが取れない限り「身体を正常に動かさせない何かの対策」など、どうでいいはずです。私どもも激痛に苦しんでいる患者さんを前に「その痛みを生んでいるのはかくかくしかじかで、それを治さないと………」などと説明はしません。その痛みをすぐに取るための手段を尽くします。
しかしながら重要なのは「今の痛みを取ること」ではない。それだけではいつでも腰痛は再発しますし、不幸な場合、もっと重篤な病症となって現れるかもしれません。
「痛みを取る」ことだけを目的とするのか、「身体を正常に動かさせない何か」を対象とするのか。私は後者が東洋医学の正統の考え方だと思います。