椎間板ヘルニアの原因と症状
椎間板ヘルニアは、腰椎の骨と骨の間に挟まって、クッションの役割を果たしている髄核が外に飛び出してしまい、それが神経根や脊髄を圧迫することで症状が起こります。
症状は、腰部の痛み、痺れ、動かせる範囲の制約 (可動域制限)が、主なものです。
椎間板ヘルニアは、その飛び出した髄核等が、時間がたてばマクロファージ等によって捕食され、徐々に縮小し、圧迫から解放されることで、症状が消えることが多くあります。ただこの捕食にどの程度の時間がかかるのかは、一概にはいえません。
脊髄症の原因と治療法
いっぽう、同じような症状を示しながら、ヘルニアを起こしていない、神経症も見られます。これは、下肢に広く分布する神経システムのいずれかの障害によって発生するものです。
この異常を起こす原因には、以下の場所に筋肉・腱の拘縮がみられ、それが神経を圧迫して、異常感覚を発生させているケースです。
- 坐骨神経が脊椎から出たところ (神経根という)
- 脊椎管が狭まって神経を圧迫しているところ
- 臀部の筋肉の間をすり抜けるところ
下半身に広がる神経は、脊椎管の中を通って下半身に至り、腰椎や仙椎から外部に出て、様々な神経を分岐しながら広がっていきます。
この神経束が、脊椎管から外に出た部分を神経根と呼び、坐骨神経痛などの原因となる、神経絞扼が起こりやすい場所の一つです。(上の図では、仙骨の下になっています)。この部分には最小さまざまな筋肉や腱が存在していて、加齢や疲労によって硬結すると、神経機能にダメージを与えます。
2番目の「脊椎管が狭まって神経を圧迫しているところ」は、こちらで説明しています。
3番目の「臀部の筋肉の間をすり抜けるところ」は、次の図をご覧ください。
黄色の太い神経 (坐骨神経) が、左右に広がる筋肉の下をくぐって上部に出ています。この左右に広がる筋肉は梨状筋といい、この筋肉が硬結することで坐骨神経を圧迫・絞扼すると、病症が発生することがあります。これが梨状筋症候群と呼ばれるものです。
この場合も、筋や腱に鍼を刺し、場合によっては灸で熱刺激を与えたり、低周波パルスをかけることで、血行の改善を図ります。
ところで筋の硬結化は、ここで挙げた梨状筋だけが、問題を起こすわけではありません。臀部の多くの筋肉、閉鎖筋、大・中・小殿筋、大腿筋膜張筋などが、他にも、大腰筋、脊柱起立筋、腰方形筋などが、加齢や疲労によって運動性を低下させて、血液の流動性を下げていれば、神経に対して好ましい影響を与えません。
また、鍼は、症状の原因筋や腱だけに刺すだけでなく、痛みや痺れを感じている部位 (末梢神経が広がる部分) に対しても、施術するとより効果が高まります。
(c) Human Anatomy Atlas, Visible Body