仕事柄いろんな身体表現の方を拝見する。鬱的な思考の方、逆に躁に振れる方。よく来院される肩こりや、腰痛、不眠といった病症の方を含めて、まず「お腹がすいてるんじゃないの?」と心配に思うことが多い。
じゃあ食べましょう、と即答される方は、治療院にはいらっしゃらない。
「食欲がわかない」「空腹であることの自覚がない」といった方が、さまざまな身体症状を併発される。食べた方がいいですよ、と申しあげて、お食べになるかというと、これが多くの方が、お食べにならないのだ。「ケーキならどれだけでも食べれます」とおっしゃる方もいた。
食べない理由は、個人の身体状態の問題を越えて、社会的な要因も多いように思う。複雑な事情が背景に潜むことも多いのだろう。
「きちんとした食事を採る時間がない。かといって、コンビニの食事など怖くて食べられない」「お金がないから、一日1食にしている」「太りたくない」「一人で食べるのは、おいしくない。寂しい」。さまざまである。
生活に必要な栄養が不足していることが重要なのではない。「空腹状態は、身体にとって、不快な状態である」ということが、まず問題なのだ。
肩こりや、腰の痛みは、何らかな対処を考える方も、空腹に伴う不快感については、鈍感である。鈍感になっているという状態が、まず問題なのかもしれない。
私は、調子が悪かったら、まず食べてみる、というのをお勧めする。調子が悪そうにしている友人が、食事を誘っても乗り気ではないといった場合も、食事制限を受けていない限り、無理やり食事に連れ出すべきであると思っている。
家族の夕餉の団欒とか、おふくろの味とかは、ロマンティックなプレミアがついた、食欲の解決方法にすぎない、とドライに思うことも重要なんだと思う。
おかしいな、と思ったら、今日採った食事の回数を思い、不足があるなら、最寄りのコンビニでも、ファストフードでも飛び込んで、おにぎりを一つ頬うばり、カップ麺を啜ることを強く勧めたい。

