鍼灸はどうして効くのか -現代的解釈(西洋医学的解釈)#4

エッセー

(「3.鍼灸は、オピオイドを初めとする脳内物質の分泌に影響を与えます」からの続き)

鍼灸を行うと、うつや不安・慢性痛の解消も期待できます。

前頭葉は、我々の認知や思考を司る場所ですが、ストレスに影響を受けやすい場所としても知られています。特にストレスが長期にわたると、前頭葉が正常に機能しなくなります。そして、不安やうつ、慢性痛の原因となります。

一方、視床下部から分泌されるオキシトシンは、ストレス軽減に大きく関与しています。このオキシトシンの発現や放出を刺激することができれば、ストレスに起因するうつや不安の解消に繋がります。
ヨガや太極拳さらには瞑想などは、精神集中により、前頭葉の活動が高まることによるものと理解されています。さらには鍼灸でも、この脳内の環境の改善に影響を与えています。このように、前頭葉の機能を正常化させることにより、視床下部のオキシトシン神経活動が亢進するものと考えられます(トップダウン効果)。

もう一つ、鍼やマッサージは、末梢の知覚神経の刺激を、脊髄視床路を経由して延髄・中脳・視床下部に伝え、オキシトシン神経の活性を高めます(ボトムアップ効果)。

この両者(トップダウン効果とボトムアップ効果)により、オキシトシン産生が高まり、うつや不安の解消が期待できます。