寒い、暑いという感覚について

エッセー

患者さんの身体をみていて、体熱が充分にあるのに、温覚に過敏で、室温を気にして、タオルを掛けるときの風にも冷気を感じる。施術の指が触れたときの皮膚刺激が強く、痛みではなく、くすぐったく感じる。こういう、感覚異常について考える。

以下、例によって雑駁な印象論である。聞き捨てていただきたい。

冷えや、その逆の熱=のぼせについて、その強さを尺度にすることが多い。仮にそれを数字にして、冷えを – 、のぼせを + とすると、+25 とか -50 で身体の不快のレベルが測られる。なのだけど、この数値の多寡の問題と別に、その符号の向きが問題なのではないのか、と思うことがある。

数値を 0 に向かって身体を調整するのではなく、符号を逆転させる、という作業である。

この符号については「本人の思い込み」という要素が大きく、他者の施術との関係でいろいろ難渋する。


※以上は、深刻な病症に裏打ちされた感覚異常ではない、という前提の話として。