「ゴッドハンド」など、不要だと思います~本院の方針

エッセー

私どものようなささやかな鍼灸院でも、見事に短期間で寛解された方から「ゴッドハンドだ」とお褒めいただくことがありますが、残念ながら、私どもは「ゴッドハンド」でも「奇跡を呼ぶ医療行為者」でもありません。

患者さんに合った、合理性の高い施術を提供しているだけです。

もしそれが合理的だと判断したのなら、直ちに医師の診察をお勧めします。そんな「ゴッドハンド」っていないですよね。

「ゴッドハンド」が「細かい作業を正確に行える」という意味の比喩であるなら、それは「施術者として当たり前の技術を身につけている」というだけのことで、専門外の方がびっくりされても、それは「ゴッド」などと言われるほどの大げさなものではないはずです。

鍼灸や東洋医学は、別に神秘でも奇跡でもなく、ごく当たり前の医療技術にすぎません。

別のポストにも書きましたが、私どもは「奇跡」を期待しません。それを期待していらっしゃるのなら、本院はそのご希望にかないません。

私どもの方針は、

1.レッドフラッグを確実にスクリーニングする

2.引き受けたなら、初回でできるだけ改善する

というものです。

「レッドフラッグ」とは、他の医療職種や専門家に紹介する必要のあるサインや症状の事を指します。

例えば腰痛が主訴だとすると、それが筋緊張性腰痛や脊柱管狭窄症によるものであれば本院で施術しますが、馬尾徴候がみられる場合は、専門医の受診を勧めます。

重篤な病因である可能性の有無を見抜き、適切な医療サービスをお勧めする。医療従事者には必須の義務だと思います。
お引き受けしたら、初回でできるだけ改善する。

本院では、初診は1時間半から2時間をみていただきます。病態を正確に把握するために、医療面接(問診)にも時間をかけますが、主訴の寛解のために、できるだけ施術時間を取るようにしています。来ていただいた患者さんの「痛み」を可能な限り減らしてお帰りいただきたいからです。

「うまい鍼灸院は、何回かに分けて施術する。そうしないと鍼灸院が儲からないから」という俗説があります。私どもには、そんな器用な技術の持ち合わせがありません。分けて施術ができる腕があるなら、1回で終わりにしたいと思います。必ずしもすべての患者さんをそうできるわけではないのが無念ではあるのですが。