事故などで外傷を負った後、怪我をした部位が治癒しても長期間にわたり痛みが持続するような場合があります。このような症状を難治性慢性疼痛と言いますが、なぜ傷ついた末梢組織が治癒した後も痛覚過敏が続くのか、この症状を引き起こす脳内メカニズムについては、これまで殆ど明らかにされていませんでした。
今回、大脳皮質にある皮膚の感覚情報処理を行う脳部位において、脳内の神経膠細胞(グリア細胞)の一種であるアストロサイトが、末梢神経損傷の刺激を受けて未熟期の性質を再獲得することが発表されました。
このアストロサイトが「未熟化」という変化をおこし、それがきっかけとなってアストロサイト自体から放出されるトロンボスポンジンという糖タンパク質が脳内の神経回路を「末梢からの小さな刺激を「もの凄く痛く感じる状態」(このような状態をアロディニアという)に変化させてしまいます。
この「もの凄く痛く感じる状態」は「再編成異常神経回路」のおかげで長期間持続するので、慢性的な疼痛と感じるわけです。出展はこちら。