『奇恒の腑』伊藤弘隆。長野式の先生なのかなと思うのだけど、臓腑や経絡弁証以外の方法で治療を行っていらっしゃる方のお話を伺いたかったから。
『養老先生がんになる』
養老孟司、内田樹と、少し上の人が癌に倒れる年になった。普段から著作を拝読していた、医師や哲学者の闘病記に興味があった。
『物理学の誕生』山本義隆
山本義隆の専門的な物理学の本は、基礎的な知識の欠乏してしまった私にはかなり苦痛だが、これは受験塾の生徒への講義から始まり、敷居が少し低い。アリストテレス哲学が、占星術の思想背景を導くあたり、中世スコラ哲学との関係とか、近現代物理学が生まれる過程の人間の思考について、わかりやすく説明される。たぶんどの学問、技術も、未来から見たら、進化の途中なのである。鍼灸はどうなのか。
『性の境界』松岡正剛
松岡正剛も世を去った。セックスとジェンダーの区別なく性差議論が行われるのをみるだに、ウーマンリブの時代を知る身としては、議論の始まりから、現在の論点まで押さえておきたい。扶養者控除の議論も、できたら生物におけるオスとメスの発生の意義から論じたいと思う。そういえば田中美津も世を去った。自分が免許を取得する前に、その名を知っていた鍼灸師は、彼女と麻原彰晃の二人だけだった。