『東京の生活史』を読む

Staff Blog

買うには大部すぎるし、ちょっと高いしで、図書館で順番待ちしていて、やっと回ってきた。

150人の、東京で生活する一般人の、人生語りの本である。話者は一般人であるのだが、この本が特徴的なのは、聴き手も一般募集された方である点である。


「東京の生活史」300人くらい聞きたい・東京で暮らしている人、いろんな階層と年齢と職業とジェンダー。東京で、いろいろあるけど、一所懸命暮らしている人の人生を聞きたい

編者の社会学者岸正彦のツイートに、反応した人々の語りである。

我々は日常生活をしていて、いろいろな人と巡り合い、関わりを持って生活しているが、その人の人生については、ほとんど知らない。その人が体験して、感じたことを、知ることができない。それは大変残念なことだと思う。

私と同じように1978年に『スター・ウォーズ』を見た人の、それを見るに至るまでの人生と、それを見た後の人生について知らない。1978年に、新宿の映画館で、同じような2時間を過ごしたという、ささやかな共通点があるに過ぎない。でも、その共通点があるということは、そこで分岐した、もう一つの自分の人生があった可能性がある気がする。それはどのようなものなのか。

結局は、私は、他人の人生に興味があるというよりも、自分の人生の可能性に興味があるのだと思う。失礼な話ではあるが。