梅核気 (ばいかくき) をネットで調べると「梅の種が喉につかえているような、不快感を覚えること」のように説明されているが、このような深刻度が低い症状を主訴として、治療院に来院される方はいない。もっと深刻な症状を、梅核気と自己診断されることが多いようだ。
先日の患者さんは「首を絞められたように、苦しくて、息ができない。このまま死ぬのかと思った」と、ネットで自分で調べて、梅核気と考えて、鍼灸院に来院された。梅核気であるか以前に、早急に改善を要する病症である。
このような患者さんは、身体観察をして、重篤な病因の有無を判断し、自分で改善できると判断したら、鍼灸治療に移る。
「首を絞められたように、苦しくて、息ができない」などという状態が、継続的に起こるわけがないので、そのような症状が最初に発生したのはいつか、どのようなタイミングでその症状が自覚されるのか、をしっかり伺う。すると、感情が激しく揺さぶられる事件が起こっている。その症状を誘発させる可能性が高いイベントが見つかる。
あとは、身体の過剰な緊張を確認し、それを開放する。施術中や施術後に、号泣される方がいらっしゃる。身体の緊張緩和が、何かの感情からの解放につながったのかもしれない。
たぶん、これは梅核気ではない、と思うが。