僕の中には、僕がよくなろうとするのを、邪魔する奴がいる。
それを、例えばこの文章の中では、「君」と呼んでみる。
「君」は、自傷的だ。僕がぐんぐん枝を伸ばそうとすると、それをわざとへし折る。僕がよくなろうとすると、反対側に引っ張る。昔の僕に引き戻す。
そのくせ、過去の自分を殺して回ろうとする。過去を全て、黒歴史にしてしまう。
「君」はすぐに壊そうとする。成長とは、いつか破壊されるものへの下準備にすぎない、とでも言うように。
「君」が最も欲しているものを、「君」は同時に恐れている。
僕は「君」とどんな風に話し合ったらいいのか、まだわからない。今のところ。
でも、一つだけわかっていることがある。
「君」がむくむくと大きくなるのは、決まってお腹が空いている時だ。
厳密にはちょっと違う。「君」が、むくむくと大きくなる。僕はお腹が空いていることを疑う。半信半疑で食べ始めると、ぺろりと平らげてしまう。お腹が満たされると、「君」は小さくなっている。
少し前まで、僕は「君」のことを、さそり座のことだと思っていた。でも今は、さそり座の中にも「君」がいるだけで、さそり座は、その声がよく聞こえてしまうだけなんじゃないかって気がしている。
だから、さそり座のみんなにも、さそり座の季節の只中にいるみんなにも、これを試してみてほしい。
「夜中に食べると健康に良くない」とか、「食品添加物が」とか、四の五の言わずに、まずはおにぎりでもカップ麺でも、口に入れてみてほしい。(もしかしたら、自分の考えだと思っていることも、「君」にそう思わされているだけかもしれないのだから。)
遂にもっとも難解なところへ足を踏み入れてしまった。でも、さそり座が敵ではないかもしれないとわかったのは、大きな前進である。
また何かわかったら、みんなに報告するにゃ。
オーバー


