努力が一つ報われる度に、嫌な奴になるとしたらどうしよう。
僕は、がんばったんだろうか。
がんばったから、報われたんだろうか。
夢が叶うのが、自分のおかげなんだとしたら、それはなんだか寂しい世界だ。
太陽も月もなくて、地球だけが、ひとりで自転し続けているみたいに。
よいことも悪いことも、何かのせいにして、生きていたい。
それは無責任というのだろう。
「自分のせい」も「自分のおかげ」も、どちらも背負わずに、生きていたい。
それは、ずるいことだろうか。
僕は親を知らない。
僕は、たぶん、五月に生まれた。
僕の両親は、ある春の日に、目と目があって、恋をしたんだろうか。
そんな偶然の、せいだろうか。