タクシー運転手の40代男性。
仕事柄、長い時間運転席に座り続ける。社のルールで、契約時間内は、車から離れることを制限されているので、食事も、コンビニで買い物して運転席で。客待ちの間も、座り続けている。営業時間内は、席から離れることがほとんどない。
年に何回か、ぎっくり腰になるという。ぎっくり腰には予兆があるときと、ない時があり、今日は予兆があるという。腰痛ベルトを常着していて、それを手放すのが不安だとおしゃる。腰痛ベルトをしていても、ぎっくり腰に襲われるが、外すともっとひどくなるのではないか。
ぎっくり腰の不安から解消されたいこと、はげしい頸肩の痛みを緩和したいこと。鍼で、これらの慢性的な疼痛が緩和されるのか、相談したい、と来院される。
原因疾患がない限り、急性腰痛=ぎっくり腰は、それを発症させる何かの「きっかえ」があるにしろ、原因は、不安などのメンタルか、身体の激しい疲労感にあると考えている。腰痛ベルトや、神経性の鎮痛剤に頼るのも、できたら回避したい。
私と近い年ごろでもあるので、タクシー運転手の仕事についていろいろ伺う。
事務仕事はあまりお得意ではないので、クルマを運転することで、生計を立てることを基本に考えていらっしゃる。
タクシーで売り上げを伸ばすには、乗車率・乗車効率を上げるための「戦略」が必要で、それが個人の営業努力ということなのだろうが、この方は、そういうことがあまりお得意ではないようで、必然的に達成給的な部分では、周りの方と差があるようである。
かといって、今の会社では、基本給自体はさほど良くない。メリットは、時間が自由になるから、とのことだが、その自由であることのメリットは「腰痛の不安」に柔軟に対応できるから、とのこと。
取りあえず、腰痛の不安を無くすために、治療プランをご説明する。痛みの発生メカニズム、連続着座が及ぼす血行不良の障害、それを緩和するための簡単な運動を勧め、それによって身体が変化することの自覚を持っていただく、などについて。
施術をご予約をいただいて、5回ほどを目処に、改善程度を評価し、継続治療をするか決めることにする。
今のお身体の状態から拝察するに、タクシーではなく、商品の配達業務の方が、身体負担が軽いのではないか、と思う。詳しくはないのだけど、業種によっては、タクシーの収入よりも稼げる、という話も聞く、そんな話もした。