更年期障害が始まったと来院されたのは、40代後半の女性。まだ閉経していない、とのこと。
2024年は夏が長く、湿度が高く、非常にタフな季節でした。それでも10月になり、少しは気温が下がっているのに、来院されたときには、滝のように汗をかかれます。特に首から上がひどい。ハンドタオルをお使いになるのですが、かなりの水分を吸収しています。
汗とは何なのか。なぜホルモンバランスが崩れると、自律神経が乱れるのか。実は、明確には、その理由はわかっていません。
今年の夏は、湿熱状態が長く、こういう空気を吸い続けると、体内に熱がたまります。それはまず、呼吸する肺に熱を与えます。東洋医学では、肺は体表面の物質の出し入れを管理することになっています。この場合は、汗ですね。
汗にはご存じのように、さらさらした汗と、べたべたした汗があります。
後者は、水分以外に何かが混ざっているので「べたべた」しているのです。それは何か、成分分析的にはミネラルということになるのでしょうが、観念的には「体から外に出てはいけないもの」です。まとめると肺が過熱疲労し、汗の管理に失敗している状態、ということになります。
更年期障害を、薬事的に治療しようとしたら、婦人科にかかることになると思います。そこで、エストロゲンを補充する薬などを処方してもらい、ホルモンバランスを以前に近い状態に戻す、ということを目指すのかもしれません。医師によっては、西洋薬ではなく、漢方を処方されるかもしれません。
ところで、くすぐったい、とか、不自然なほど汗をかくというような、肌で起こる症状は、身体が疲弊している時の表現です。強い病症がなくとも、身体が「弱っている」状態です。ホットフラッシュをどう考えるのがいいのか。何かの要因で、身体が過度に疲労しているのか、その要因は、生活や仕事に起因することかもしれません。
こうした可能性を、患者さんと相談し、どのような順番、優先順位で対処するとよいのか、を考えます。