中医学とは

本院では、おもに『積聚治療』『中医学』の2種の理論体系に従って施術を行っています。それぞれ別の理論体系になりますが、患者さんの症状や体質に合わせてどちらかを選んだり、組み合わせたりして施術していきます。

 

中医学とは、「中国伝統医学」の略です。中華人民共和国で現在一般的に行われている医療法で、古来より伝わるあまたの中国伝統医学を整理し、体系立て、新たに再構築したものです。

まず「四診」といわれる、視覚・臭覚・聴覚・触覚・味覚を用いた診察を行い、これで得られた情報を、東洋医学の身体感である、気血津液・臓腑経絡・病因病機・経絡経穴などの基本理論に基づいて分析し、患者さんの現在の症状をもっともよく説明する病因病機を推測して、「証」というカテゴリーに分類します。

この証に従って、それに対応する方針・方法を決定します(これを「論治」)といいます。

中医学ではどう施術するのでしょうか?

頭痛を考えて見ましょう。西洋医学では抗炎症剤という薬で痛みを抑えるのが一般的でしょう。それに対して中医学では、痛みとは何かの詰まりが原因であると考えるのです。

人体は「気」や「血」が循環することで、体を正常に機能させています。何らかの原因でこれが詰まってしまうと、痛みが生じます。例えば「気の滞り」がこれらを停滞させる原因であったとします。この場合、気を通すツボに対して施術を行います。つまり、痛い場所に鍼を刺すわけではないわけです。

中医学では、気が行きかう経絡(けいらく)という道が全身に張り巡らされていて、その要所にツボというポイントがあるとされています。このため、首の痛みをとるのに、痛い首ではなく、首から一番遠い足の指に鍼を刺して施術する、ということも行います。不思議に思えるかもしれませんが、こういう理由からなのです。

難しいですね。

中医理論はともかくとして、本院での施術は、以下の手順で行っていきます。

1.気の偏りを調節します

気が体にバランスよく位置しているといいのですが、これが偏ってしまうことがあります。これを補正する施術を行います。

お腹の圧痛を指標に、ツボに鍼を刺しながら、調整します。2.以下で行う施術の効果が高まるような準備の意味もあります。

2.弁証結果に基づいて決めたツボに鍼を刺し、手技を加えます

患者さんの診察から決定した方針に従って、施術を進めます。患者さんの体質そのものに対する施術で、「本治」と呼ばれる、施術の核の部分です。

3.五臓の調整をします

「肝心脾肺腎(かん、しん、ひ、はい、じん)」の五臓が正しく動くように調整します。主に背中のツボを使って施術します。

典型的な施術はこのようになりますが、病症の重篤度や、患者さんの鍼に対する感受性などによって、ほかの施術を加えたり、削ったりします。

東洋医学全般、中医学について興味がある方は、以下の本やホームページが参考になるかもしれません。

中医学研究所のホームページはこちら

東洋医学 80×112『徹底図解 東洋医学のしくみ』 兵頭 明・監修
新星出版社

 

東洋医学を 75×112

『東洋医学を知っていますか』 三浦於菟
新潮社

 

中医学って 80×112『中医学ってなんだろう ①人間のしくみ』 小金井信宏
東洋学術出版社