最近の病院は専門科に分化が進んでいるのですが、そのなかで、婦人科、産婦人科の特性とは何なのでしょうか。普通に内科ではいけないのでしょうか。
別に女性内科でも良かったと思いますよ。
皮膚科だって昔は内科から分離したんですから。そうやって細分化してきたのが現状ですよねえ。外科も脳外科、心臓血管外科、呼吸器外科、消化器外科、泌尿器科、整形外科、くらいにわかれていますし、内科も神経内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科、腎臓内科、内分泌代謝内科、血液内科くらいにはわかれていますよねえ。あとは眼科、耳鼻咽喉科、小児科、形成外科、乳腺外科、リハビリテーション科とか麻酔科、精神科なんてのもありました。そして、産婦人科、くらいでしょうかしら。
産婦人科、っていうくくりで後進の指導してますからねえ。産婦人科ってわりと外科系なんですよねえ。お産はまあ、ともかくとして、ですけれど、そっちにも「帝王切開」っていう手術がある。だから婦人科ってのは、基本的には子宮や卵管、卵巣の手術をするのが中心の診療科なんです。
だから手術しない診療科として女性内科で良いじゃないか、ってことですよねえ。ええ。でもね。私は内診台置かないで診療する予定ですけれど、それって、すぐ近くに婦人科の先生がいらっしゃるからできることなんですよ。ちゃんと診ようと思ったら内診台が必要になる。子宮や卵巣の状態を把握して、それに対しての治療ってことになるから。それが実現できるのは、内診台を使ってきた婦人科、ってことになるんですよねえ。きっと。
内診、必要ないじゃないか!っておっしゃるかもしれないけれど、そこはねえ。私はすっ飛ばすことにしたんだけれど、本当はそれでは怒られる案件なんですよ。見落とすな、って。なので、婦人科は内診があるから嫌だ、っていうのはおっしゃること、わかりますけれど、でもちゃんと診てもらってくださいね、って思うんです。
歴史的にも、婦人科ってのは、古くから別に立てられてました。『金匱要略』っていう、『傷寒論』と同じくらい古い本(成立は紀元200年前後と言われている。現在遡れる最古の記述は500年前後のもの)の中にも既に「婦人門」ってのが章立てとして既にある。もちろん、妊娠した人たちむけの処方、産後の人たちの処方、っていうのが先にあるのだけれど、その後婦人雑病編ってのがあって、ちゃんと、女性向けの診療についての処方が並んでいる。
野口整体の野口晴哉氏は、「男性と女性っていうのは、まるで別だ」って書いておられる、むしろサルならサルのオスとヒトの男性の方が近いくらいだ、って。どのくらい違うかっていうと、遺伝子の話でいうと、46本ある染色体のうち、1つがまるまる男性と女性で違う。(性染色体のことね)ざっと46分の1くらい違う(というのは誤解をまねく表現ですが…というのは、性染色体は全体の染色体の中でももっとも小さい染色体なので)ヒトとバナナの遺伝子の差がだいたい50%くらい、ヒトとチンパンジーで2%くらい、ってことですから、ヒトのオスとメスの遺伝子の差はまあ、チンパンジーとヒトの差くらい?(だから違うってば)それをざっくり「おなじもの」として扱うわけだから、これまた雑な分別ですよねえ。