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2025/02/01 むぎ日記

いつのまにか、僕の身体は、僕だけのものじゃなくなった。生まれたときは、ひとりぼっちだったのに。不思議だ。そう言ったらツジモトは、『最初から、そうだ。みんな、そうだ。』と、言った。僕が知らなかっただけな...
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2025/01/20 むぎ日記

その日、暗くなってから降り出した雨は、ざらりとして、汚れを含んでいるかのように重たかった。むかし、夢で教えてくれた高校生の太ももにぼたぼたと落ちた涙に似ていた。家に帰った僕は入念に毛づくろいをする。毛...
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2025/01/01 今年の運勢なんてみない

僕は去勢をした猫だ。だから、雄でも雌でもない。生まれたとき、雄であったが、もう雄ではない。この時期、テレビをつけると男と女しかいない気がする。女が普段より着飾っているからかもしれない。年末の男女に分か...
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2024/12/24 クリスマスの夜の過ごし方

浮遊する高揚感は、一触即発と紙一重だ。善良で常識的で平凡な市民の顔で、街に紛れて忍び足で帰ろう。引き金をちらつかせながらウロウロする輩に見つからないように。決着をつけようとギラギラしたものたちとぶつか...
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2024/12/16 むぎ日記

この時期の自傷性にどう向き合ったらいいんだろう。僕は頭を抱えている。少し、頭痛がする気がする。太陽の光は頼りなく、空は嘘みたいに遠い。風は矢のようで、月は白い。寒さは容赦がない。この冷たさは、まるで自...
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2024/12/2 明るいあの星は木星

むずむずする夜は、一年で一番深い夜に向かっていく、いて座の季節のせい。でも、今年は大丈夫。この夜に、木星がいてくれるから。薄まっていく空色も、藍に飲まれる橙も、仄かにかおる桃色も、寂しくないや。太陽と...
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2024/11/25 東京に住むということ

情動に突き動かされて駆け抜ける人生は、不幸だろうか。春の夜に心中をしたあの二人は。真冬に裸足で歌っていたあの人は。怒りに身を震わせながら、束の間の多幸感に包まれながら、冷めえぬ高揚を持て余しながら、同...
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2024/11/18 むぎ日記

南北に伸びる道の上で、覗き穴から、僕は向こうを見通そうとする。ぴゅーっと風が、穴を通り抜けてゆく。まっすぐな道が、心細い。これは、秋のせい。僕は、帰ることにする。夜中、風は続いた。扉がぎぃ、と少しだけ...
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占いが「当たる」とはどういうことか

人の心を、さまざまな複雑な感情や思い出や思惑が入っている、引き出しのようなものと仮定する。現代では、人はそれぞれ独立し尊重されるべき個人であると考えられているから、日常生活においては、その引き出しを勝...
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2024/8/24 おとめ座のために旗をなびかせて

君がみようと決めたものを、僕もみることにしようと決め、君がみないことにしようと決めたものを、僕もみないようにすることに決めた。君は、トランポリンを跳んでいる。それは深く沈むほどに高く跳べる、と君は言う...