2024/11/25 東京に住むということ

占い

情動に突き動かされて駆け抜ける人生は、不幸だろうか。

春の夜に心中をしたあの二人は。
真冬に裸足で歌っていたあの人は。

怒りに身を震わせながら、
束の間の多幸感に包まれながら、
冷めえぬ高揚を持て余しながら、
同じ音楽を繰り返し聴きながら、

何も感じない人生より、ずっといいと、僕は思ってしまう。

性能の悪い体、効率の悪い心、コスパの悪い人生。
上等である。

医者や宗教家や法律家や、あらゆる聖職者が、それぞれの立場から「それはやめておけ」と言ったとしても、僕は、心を大きく動かすことをやめられない。やめられない君と一緒に「そうだそうだ」って言っていたい。だって猫だし。僕に唯一なにかの立場があるとしたら、それは君の隣にいることである。

僕らが選ぶものや、僕らが作り出すものは、この世界の完璧からは余計なものかもしれないけれど、僕は、そういうものが好きである。

どんなに危ないといわれようが、この街に住むと決めたそのときに、すでにある程度腹をくくっている。楽観的に生きることを決めている。

この街に住む誰もが、同じ楽観と諦観と死生観とで、何となく連帯している。

生存のために、寂しいところへ行ってくださいとは決して言わずに、
ここで一緒に死んでもいいと言ってくれる君と同じ街に、僕は住んでいる。