自分の中にある異性性のコントロールって「生理」に役に立つものなのでしょうか。そもそも、そういう性志向と、生体反応って独立したものなのでしょうか。女性的思考がある男性でも、自然に乳房が膨らむ、などということはないことを考えると。
うーん…って唸ってしまっているんですけれど。
異性性、ってのは一体なにものなのか、っていうあたりで、わたしが躓いてしまった。生理との話で考えていくとすると、質問をくださった方は女性の部分が基本のスタイルの方、なんだろうけれど、そのご自身の中に「男性っぽい部分」が結構ある、っていうことなのかしら。
この「男性っぽい」っていうところの話がですねえ。結構めんどうくさい話で。
最近はやりの、LGBTQって言葉、ご存じですか? L=レズビアン(女性の同性愛の方)G=ゲイ(男性の同性愛の方)B=バイセクシュアル(同性愛と異性愛の両方の性的指向をお持ちの方)T=トランスセクシュアル/トランスジェンダー(性別違和があり、性別の変更をした方、あるいは性別の変更を希望している方)Q=クイア(その他いろいろ?)って形で同列に並べられているんだけれど、三砂ちづる氏はこれを見て、最近の日本では、あまり個人の性的指向を明らかにしない、あるいはアセクシュアル(性的欲求が極めて弱い方)もあったりするので、むしろ、こういうセクシュアルマイノリティである、っていう名乗りじたいが、「私は性的な欲求を持った存在である」っていう、その点だけでも結構突出した話題になってしまいかねない、みたいな事を書いておられた。
だって、日本人、性的な話題、ほとんど表現しないから。ねえ。
で、性別っていう話になると、身体的な性別=セックスと、人の振る舞いや役割り的な性別=ジェンダーってのとがある、っていう話になって。ね。
一人の人の中にある「異性」って、これ、セックスの話の異性?それともジェンダーの話の異性??ってのがだんだんわからなくなってくる。
心理学では…って書いてからちょっと調べてみたら「ユング心理学では」って書くのが正確なことに気づいたのだけれど、ユング心理学では、アニマhttp://rinnsyou.com/archives/303 とかアニムスhttp://rinnsyou.com/archives/305 とかっていう概念を用いることがある。これがいわゆる「異性性」ってことで言及される対象だったりするんだろうかしら。
こういう心理学での異性性っていうのは、自分のアイデンティティとの「統合」みたいな話題で語られることが多いのかもしれない、くらいの偏見が私にはあって。異性性をコントロール、っていう話よりは「自分の人格の中に統合していく」くらいの話になりがちなんじゃなかったかしら…とかって思っている。
これはまるで私の妄想なんだけれど、異性性よりは、自分自身のなかの、女性の部分をきっちり認知して、それをちゃんと受け止めてあげる、っていうことの方が、なんていうか、月経については、有効な気がする。摂食障害って、思春期の女性に多かったりするんだけれど、それは、月経のある成人女性と自分自身の存在をうまいこと重ね合わせることができなかったところで、成熟を否定して発症する、みたいな言い方されることがあるんですけれど、そういうぼんやりした主張の、いわば反対側をいくと、結構うまくいくよねえ、くらいの提案でしかないのだけれど。
男性の場合に、女性性を大事にしたからと言って乳房はあまり膨らまないかもしれないけれど、一部好事家がいて、男性用ブラジャーってのは需要があるらしい。で、これを着用している人たちにもいろいろいらっしゃるらしく、「女性の身体との同一視が嬉しい」っていう方から「女装、あるいは女性装が嬉しい」「おっさんであることが許しがたい(ので綺麗な女性の姿を仮に選ぶ)」みたいな、えええ?それで女装するの?みたいな理由の方もあったりする。なんなら、「ブラジャーの締め付け具合が、なぜかすごく落ち着く」っていう、単純な皮膚への刺激を求めておられる方もあるらしい。こういう方がブラジャーをつけた状態に安心感を得たりすると、うっかり、「私は女装趣味があったのか!」とか、そういう方向で勘違いすることもあったりするらしく、この辺もずいぶんとややこしい。