仕事が生きがいなので、生理がない人生を送りたい

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生理をないものにする人生、生理を得られない人生って、どういう具体的な弊害を受ける可能性があるのでしょうか。

私は今の仕事がたいへん面白く、やりがいを感じています。ただ、排卵時や月経時の不快さは大変な苦痛で、これがなかったらどれだけ仕事を進められるかと思うと、女に生まれてきたことに悔しさすら感じます。で、積極的に生理をコントロールしようと思っているのですが、自然派の友人は、それは身体へのダメージが大きいからやめるように言います。

歴史上の例でいえば、例えば男性ですが、イタリアのカストラートとか、中国の宦官とかと比べて、女性の場合は、性のコントロールによって、より壊滅性の高い人生を送る可能性があるのでしょうか。生理を薬事的に、何らかの外的内的努力によって、存在しないものとした人生は、どのようなリスクが存在するのでしょうか。

 

日本では宦官、なかなか流行らなかったですねえ。理由について、日本では創部が腐る(湿度が高いため)っていう話があるらしく、まあ、流行らなくて良かった、というか。って思いました。それでも男性の精巣摘出は、まあ身体の外側に近いところなので、まだ簡単、って言えるんでしょうねえ。

女性の(とくに異常の認められない)卵巣を摘出する、っていうのは、乳癌の治療の時にやったりしますが、それ以外ではあまり行うことはありません。母体保護法には断種になる手術を行うこと、あるいは放射線照射なども含めて、卵巣機能が廃絶するような医療介入を行うことについては禁止されていたりします。

とはいえ、ご相談されているところは、月経がつらい、ということで。うーん。

私が以前診療に関わっていた月経前症候群(PMS)の方で、本当に仕事を頑張っておられるのだけれど、月経前になると、すごく不調がでる、という方がありました。低用量ピルなどを使って、ホルモン状態をなんとか一定に保とうとしたのですが、低用量ピルに含まれるプロゲスチンにも反応して月経前症候群(PMS)が出現するため、体調を立て直すことができず、偽閉経療法を実施しました。

GnRHアナログというものを投与して、閉経したみたいな状態を作り出すわけです。そしたら、「エネルギーがね、どこかに消えていってしまったの…」っておっしゃってたのをすごく印象的に覚えています。あなたが頑張っておられる、その頑張り、わりとエストロゲンが寄与している可能性ありますので、それを完全に抜いてしまうと、気力も抜けてしまう可能性、ありますよ。

もちろん、それだけ頑張って、無理しておられると、月経前も月経中もとてもしんどいと思います。もう少し、身体をいたわっていただけたら、って思います。

 

それはそうと、もともと月経の回数は、生涯で五十回くらいだった?らしいですし、そういう生き方もあり、なんだろうと思いますよ。

今は、ピルの連続内服、という方法があります。日本だと120日くらい連続して内服。海外だと数年続けて内服している、っていう方も珍しくなくなりました。そういう飲み方していただくと、ほぼ月経がなくなる(ときどき不正出血が少量はあったりする)ようです。自然じゃない?って話には、「そんな、一生で500回も月経があること自体が自然じゃないから!」って反論してあげてください。