気分安定薬が処方されたとき

身体へのヒント
気分安定薬の目的・効果

気分安定薬は、おもに双極性障害(躁うつ病)の薬として使われます。

双極性障害とは、「躁 (そう) 症状」と「うつ症状」を繰り返す、激しい気分の波に振りまわされてしまう病気です。

気分安定薬は、「躁症状」と「うつ症状」の気分変動を抑制することで、「躁症状」と「うつ症状」両方の予防効果が期待されます。

日本で承認されている薬物は、気分安定薬の炭酸リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、および非定型抗精神病薬のオランザピン、アリピプラゾールで、その他、種々の抗てんかん薬、カルシウムチャンネル遮断薬、ベンゾジアゼピン系薬物、非定型抗精神病薬も気分安定薬としての作用を一部持つことが報告されています。

薬理作用と処方

気分安定薬の薬理作用については、明確になっていません。

炭酸リチウムの作用機序として「受容体の細胞内二次メッセンジャー系を修飾することによって作用する」との仮説がありますが、新しい知見も発表され、その全体の機序については定説に至っていません。

双極性障害(躁うつ病)の治療の基本は、気分安定剤を用いて、気分の変動が大きくなりすぎないようにコントロールすることです。

病症に応じて、気分安定剤以外の薬も使われます。
例えば、うつの症状が強い時には、抗うつ薬が用いられます。場合によって、非定型抗精神病薬が使われることもあります。

治療のシナリオは、急性期治療→継続期治療→予防的維持です。

まず、急性期の強い症状を軽減させ、次に、躁うつから回復するまで薬物療法を継続し、その後、躁うつ症状の再発を防ぐために予防的に薬物療法を続けます。それぞれの期間の目安は、躁うつが初回の場合、急性期治療が3ヶ月、継続期治療が6~9ヶ月、そして予防的維持には1年以上とされています。

気分安定薬の作用と効果・副作用について

左側は一般名で、()は商品名です。処方時には()内の商品名が使用されることが多いです。

炭酸リチウム (リーマス)
カノレパマゼピン (テグレトール)
バルプロ酸ナトリウム (デパケン(R)、バレリン)
ラモトリギン (ラミクターノレ)

オランザピン (ジプレキサ)
アリピプラゾーノレ (エピリファイ)

といったものがありますが、作用機序や副作用については医師と相談ください。