肩こり・腰痛の鍼灸:4  同じ姿勢を続けていると起こる肩こり・腰痛

身体へのヒント

地球には重力がありますから、ほっておけば骨や内臓は下に落ちてしまいます。これでは困るので、姿勢を維持するために、骨格筋という大きな筋肉が人体の構造物を支えています。

骨格筋はとても大きな筋肉なので、その働きを維持するためには充分な栄養が必要で、それは血液として供給されます。

ずっと同じ姿勢を続けると、栄養を大量に消耗します。栄養供給が筋肉の需要に追いつかなくなると、筋肉が硬くなってしまいます。

筋肉が硬くなると、その中を通過している神経が圧迫されて、痛みが生まれます。「オフィスで1日中座って、右手はマウスをつかみ、左手はキーボードに乗せ、モニタを見続ける」--これが典型です。

このようなメカニズムで起こる肩こり・腰痛を「姿勢性肩こり」「筋性腰痛」などと呼びます。

患者さんの痛みや不快さは深刻ですが、これが原因で起こる肩こりや腰痛は、原因が明確であるぶん対処法は単純です。筋肉の血行を回復してやればいいのです。

「筋肉を揉む・マッサージする」「ストレッチする」あるいは「お風呂にゆっくりつかる」もちろん「鍼灸」、どの方法でも、好みに合わせて選べばOKです。

ただし「肩こりが常習化している」といった場合は、別の問題が発生します。

それは「身体は、いつもの状態を『正常』として記憶する」ことに起因します。

「いつも肩がこっている」という方は、身体がその状態=「肩がこっている」を正常として記憶してしまうということです。

このため、マッサージやストレッチで身体をほぐしても、身体はこのほぐれている状態=肩がこっていない=正常じゃない状態、と判断してしまい、皮肉なことに「肩がこることを、防がない」という働きをしてしまいます。

このような状態になってしまうと、マッサージやストレッチなどの効果が長続きしません。

この状態から抜け出すためには、いったん誤った記憶をリセットしてやる必要があるわけです。
慢性化した肩こり・腰痛を根本的に対策するためには、この目的に適う施術の必要があるわけです。