ずっと、枕が合わず、眠れませんでした Tさん50歳女性

症例報告

肘・膝・手首などの関節の痛み、ウイルス性胃腸炎での食欲減退、ホットフラッシュなどの自律神経失調症と、満身創痍の状態です。でもいま一番辛いのは、睡眠障害。寝れないのです。

横になるのですが、頭部の違和感が強くて。いろいろな枕を試し、オーダーまでしてみたのですが、どれもだめで。これは枕ではなく、ベッドが合わないのかと、2台試し、それでもうまくいかず、今では床に寝ています。

前回の治療で、頚や肩回りに多く鍼をしていただき、あまりの睡魔に帰宅してすぐに寝入ってしまいました。翌朝、すっきりと。頚肩の状態をよくすることが、私の場合、睡眠と直結していることがわかりました。

Tさんが初めて来院されたとき、お腹を触ると、激しい腹壁反射を起こされて、胃が上逆し苦しまれたのを覚えています。
私にも経験があるのですが、激しい疲れに見舞われると、簡単な接触刺激に対して、過剰な反射が起こることがあります。私の場合は、施術者に触られた瞬間に、汗が噴き出ました。

こういった場合、強い刺激は身体が受け付けてくれません。
鍉鍼 (ていしん) という先が尖っていない棒状の鍼を使って、ゆっくり身体のバランスを調整します。

幸いなことにTさんの場合、この緩和的な施術が功を奏し、比較的早い段階で、関節の痛みなどの症状の寛解が見られました。

しかしながら、首周り、肩部、肩甲骨間部が、俗にいう激しい「コリ」状態で、これが神経を強く刺激し、様々な症状を引き出しています。
タイミングを見て、コリを緩める目的で、頚椎・胸椎周りに片側20本ずつ鍼をします。刺激は強いのですが、Tさんはそれに耐えられるくらいの基礎的な力がついたと判断できたからです。

「枕が合わない」という感覚は、おそらく首や後頭部の神経が過剰な興奮状態で、柔らかなもの、少し高さが合わないものといった、比較的軽微な違和感が、不快な刺激に強調・変換されていたのではないかと思います。このため頚肩部の筋肉や神経の過緊張を緩和してやることで、接触感覚が正常化したのではないでしょうか。

※ 写真は、うちのネコ「こむぎ」です。この季節、こたつが大好き。でも、ずっと入っていると暑くなって、半身を出します。