ポリファーマシーの危険性について

エッセー

ポリファーマシーとは、全体の医療計画を欠いた状態で、漫然とたくさんの薬が処方されたものの、症状は一向に改善されない状態を言います。

例えば、最初は「あちこちが痛い」との訴えで、医者にかかるとNSAIDs(鎮痛剤)が出され、それを飲んでいると胃がやられたのでPPIが出て、そのために譫妄を起こしてメジャートランキライザーが出て、それで嚥下障害が起こって肺炎になり、抗生剤を投与されて多剤耐性菌がついた……というような悪循環が典型例です。

問題は最初の鎮痛にあります。

ここをNSAIDsではなく、漢方や鍼灸でコントロールできれば、そのあとの悪循環を断ち切ることができます。

しかし漢方であればOKというわけではありません。
この症例に、譫妄があるから抑肝散、嚥下障害があるから半夏厚朴湯といったように、漢方薬を足すのでは、ポリファーマシーがさらに膨らむだけです。