睡眠薬が処方されたとき

身体へのヒント
睡眠薬の歴史・効果

睡眠薬の最初期に開発された「パルビツール酸塩系睡眠薬」は、依存性を形成しやすく、呼吸中枢を強く抑制して死へ至らしめることもあったため、「睡眠薬は恐ろしい薬」という印象を社会に植えつけることとなりました。

ひるがえって現在睡眠薬として使用されるのは、1950年代以降に開発されたベンゾジアゼピン系と、1980年代以降に開発された非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬がほとんどであり、「パルビツール酸塩系睡眠薬」でみられる危険性は、遥かに少ないものとなっています。

睡眠薬の作用機序と種類

寝れないには様々な理由があり、それに対応した薬が開発されています。
不眠は次の4つに分類されます。

(1) 入眠障害
なかなか寝付けない、寝付きが悪い

(2) 中途覚醒
寝れても、夜中に目が覚めてしまう。そのあと寝付けない

(3) 早朝覚醒
まだ起きる時間ではないのに、目が覚めてしまう。そのあと寝付けない

(4) 熟眠障害
ぐっすり眠れた感じがしない

この4つの症状は、単独ではなく組み合わさって起きることもあります。

睡眠薬には、その作用時間の違いから「超短時間型」「短時間型」「中時間型」「長時間型」に分けられます。
ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロンの3剤のみが非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、他はベンゾジアゼピン系睡眠薬です。

主な睡眠薬一覧

左側は一般名で、()内は商品名。処方時には ()内の商品名が使用されることが多いです。

超短時間型(半減期が2~4時間程度)
ゾピクロン (アモバン)
トリアゾラム (ハルシオン)
ゾルピデム (マイスリー)
エスゾピクロン (ルネスタ)

短時間型(半減期が6~12時間程度)
ブロチゾラム (レンドルミン)
ロルメタゼパム (ロラメット、エバミール)
リルマザホン (リスミー)

中時間型(半減期が12~24時間程度)
フルニトラゼパム (ロヒプノール、サイレース)
二トラゼパム (ベンザリン、ネルボン)
エスタゾラム (ユーロジン)
二メタゼパム (エリミン)

長時間型(半減期が24時間以上)
クアゼパム (ドラール)
フルラゼパム (ダルメート、ベノジール)
ハロキサゾラム (ソメリン)

薬理作用と処方

ベンゾジアゼピン系、および、非ベンゾジアゼピン系の薬剤は、中枢神経系のGABA-Aレセプターに作用します。

γ-アミノ酪酸(GABA) は、中枢神経系における抑制性神経伝達物質であり、GABAレセプターとしてはA、B、Cの3種類が知られています。
そのなかでGABA-Aレセプターは、脳内だけでなく脊髄にも広範に存在するため、薬剤を服用すると、筋弛緩・運動障害を引き起こす可能性があります。

ベンゾジアゼピン系の薬剤のうちクアゼパムと、非ベンゾジアゼピン系の薬剤は、大脳皮質を中心として存在するα1サブユニットへの親和性が特に高く、他のαサブユニットへの親和性が低いため、抗不安作用、筋弛緩作用が弱いという特徴があります。

睡眠薬は、一般的に以下のように用いられます。

超短時間型、短時間型
慢性的な不眠ではなく、一過性の場合。なかなか寝付けない、寝付きが悪い。
効果が短いので、寝始めの時に効果があり、3~4時間ぐらいで効果が和らぐので、目が覚たあとの不快感が少ないという特徴があります。

中間型、長時間型
寝ても途中で目が覚めてしまう、一度目が覚めると目がさえてしまいなかなか寝付けない場合。早朝に目が覚めてしまい、寝たいのになかなか寝付けない。ぐっすり眠れない、寝た気がしない。
効果が長めなので、短時間型を使うと朝方に目が覚めてしまう人などは、こちらを使います。

睡眠薬は、症状に合わせて医師の指示に従い適切に服用することが肝心です。