慢性疼痛の最新研究:「社会的敗北ストレス」が悪化を促進する

身体へのヒント

ある痛みが重篤で慢性化する過程には、「社会的敗北ストレス」が強くかかわっているという説が有力視されています。

滋賀医科大学病院教授 福井弥己郎先生の発言を、辻本が要約しました。(文責は辻本にあります)

2016年5月の『Cell』誌に、脳内のミクログリアが、自閉症・統合失調症・アルツハイマー病・遷延化する痛みに関与していると、多くのエビデンスをもとに図示されてる。

さらに「社会的敗北ストレス」が、ミクログリアに影響を与えているという仮説も提示されており、難治性慢性疼痛・引きこもりなど、いろいろな種類の心身症患者が経験する多様な不調は,緊張を強いられる日常生活における自律神経系の変調とともに,ミクログリアの過剰活性化によってもたらされる心身の症状なのではないか。

究極の難治性疼痛はココロの痛みといえる。
九州大学心療内科細井昌子先生によると、動物実験でも、どんな痛みの種類でも、社会的敗北ストレスを加えると、脳のグリア細胞が活性化して、慢性難治化する。

例えば、患者が医師から「心因性疼痛」と説明されると、多くの場合見放されたというか馬鹿にされたと感じてがっかりするが、これも「社会的敗北ストレス」である。