肩こり・腰痛の鍼灸:7  胃や腸が悪いと肩こりになる

身体へのヒント

身体のなかの水分の循環性を維持するためには、五臓の「肺・脾・腎」が重要なのですが、これらのうち「脾」は、消化器を正常に働かすためにも重要な役割を果たします。
さらに「脾」は「胃」と協調して働き、両者は相互に影響を及ぼしあいます。

「神経を使う仕事のストレスで、胃を痛めた」という話はよく聞きますが、「胃」や「脾」は事務職の方に多い、長時間の座りづめでもダメージを受けます。「座り続けたためにお腹の調子が悪い」とはよく聞く話ですが、これは「運動不足」が原因なのではありません。

ところで、胃がダメージを受けると、どこが痛むのでしょうか。

あたりまえに「胃がきりきりと痛む」「胃を押さえて前屈みになる」。それだけでしょうか。

医学的には、内臓が不調になると「反射痛」や「関連痛」という症状を起こします。ダメージを受けた臓器ではなく、そこから離れた場所に発生する痛みのことをいいます。

背中の中央部から下に「脾兪(ひゆ)」「胃兪(いゆ)」というツボがあります。
その名の通り脾や胃が痛んだときに使うツボで、ここに痛みがあるとき、胃や脾のダメージを示唆します。

このように、消化器のような臓器に支障がある場合にも、頚・背中・腰といった身体後面に痛みが生じることがあります。

重要なことは、この場合の「肩こり・腰痛」の施術は「その痛む場所を対処する」ではなく、「弱っている消化器を正常に戻す」です。これを間違えると、施術効果がまったくないことになってしまいます。