肩こり・腰痛の鍼灸:5  食べ物・気候と肩こり

身体へのヒント

「仕事が忙しいと、肩がこる」というのは理解しやすいのですが、食べ物や気候も、肩こりを生むというお話です。

鍼灸を初めとする東洋医学の起源は、中国に求められます。

この中国ですが、今でこそ共産党政府によって文化的な差が埋められる傾向にありますが、それでも地域差は厳然として存在します。

例えば、北部では主食は小麦由来のものが多く、餃子や麺類が好まれ、南部では日本と同じように米がで主食です。

風土的には、北部は寒く、乾燥していますが、南部は温順で、湿度が高い。おもしろいことに、鍼(針)はおもに北部で、灸は南部で発達しました。

東洋医学では、体に害をなすものを「(じゃ)」と呼びますが、その中で「水分」に係るものを「湿(しつ)」と呼びます。手足のむくみの原因が「湿」であるといわれると、なんとなくイメージできるかもしれませんが、肩や腰の痛みの原因が「湿」というのは少し理解しずらいかもしれません。

「湿」は、それが留まる場所によって、さまざまな症状を引き起こします。
頭部では頭痛を、喉でとどまれば痰を、腹部では食欲不振を、そして肩や膝などの関節稼働部では痛みを引き起こします。

われわれ日本人は、蒸したコメを主食に取り、湿度が高い気候に暮らしています。
水分が豊富な食物を摂取し、高湿度のために汗の排出が難しいといった環境では、体内に不要な水分が蓄積してしまいます。

これが身体に不調を引き起こします。